「IBDP高校から日本の医学部医学科へ」を実現するためのロードマップ
知っておくべき現実:IBDPから医学科合格は「偏差値」では測れない
の第8話です。
8. 受験の注意点
8-1) IBを活用できる医学科は限られている
日本の医学部医学科にIB資格で出願する場合、大きく分けて二つのルートがあります。
ルート①:IB特別選抜(国際バカロレア枠)や総合型選抜を利用する
一部の国公立大学および私立大学では、IBDP取得者を対象とした特別選抜を実施しています。
これらの特別選抜では、一般的な大学入学共通テストを受験する必要がなく、IBDPの成績や面接、小論文などで合否が判定される点が大きな特徴です。ただし、募集人員は各大学数名・若干名と少なく、人数的には狭き門であることに変わりはありません。高知大学ではIB特別選抜で実質10名以上の合格者を出すため、医学科においてIBDP入試にもっとも力を入れている大学と言えます。実際の入学者は数名になりますが、これは個別事情によるものです。各大学ともに同じことですが、きちんとIBDP最終得点において基準得点を達成し入学できるようにしなくてはなりません。
ルート②:外国学校選抜や海外生選抜を利用する
総合型とはわけて記載されますが、海外の高校を卒業した生徒の場合は、日本人でも外国学校選抜対象者になります。募集要項の熟読が必要です。
その中でIBDPの成績を評価対象とするため、IB特別選抜とは異なる基準があることがあります。
👇海外大学は絶対に合格できます。
いずれのルートを選ぶにせよ、まずは「自分がどの大学のどの入試方式で出願できるのか」を正確に把握することが第一歩となります。募集要項の理解は非常に難しいため、疑問があれば再度熟読し、それでも疑問があれば事務局・問い合わせ窓口へ連絡しましょう。
8-2) 出願資格・スコア要件と科目選択
医学部のIB選抜で最も注意すべきは、出願資格の厳格さです。各大学が設定する条件は実に細かく、一つでも満たさなければ出願すらできません。
【スコア要件の実例】
横浜市立大学:全体成績評価40以上、かつ物理・化学・生物から2科目および数学の3科目を履修し、うち1科目はHL成績評価5以上、他の2科目はSL成績評価6以上またはHL成績評価5以上
岡山大学:全体成績評価39点以上、かつ物理・化学・生物から2科目および数学を履修し、うち1科目はHL成績評価4以上、他の2科目はSL成績評価5以上またはHL成績評価3以上
👇難関インターの場合は、これで入学が確定します。
というように、指定科目と成績の基準点があります。結果的に最終得点が満たされない場合は不合格になります。
注目すべきは、単に「高い合計得点」だけでなく、特定の科目を特定のレベルで履修していることが求められる点です。数学の選択科目(Analysis and Approaches / Applications and Interpretation)については、岡山大学ではどちらでも可とされていますが、大学によって指定が異なる可能性もあるため、事前確認が必須です。毎年改訂されるため、かならず最新の募集要項を熟読しましょう。
【日本語要件にも注意】
多くの国公立大学医学科では、IBにおける「日本語」履修を出願条件としています。「言語Aを日本語(HL・SL可)により履修し成績評価4以上、または言語Bを日本語(HL)により履修し成績評価6以上」などと定められており、日本語を履修していない場合は日本語能力試験N1などが別途必要です。日本語能力試験の日程調整も必要になります。
特に、海外のインターナショナルスクールでIBを履修している場合、日本語科目の有無が進路選択に直結するため、早めの確認が欠かせません。
👇チックがあるとイジメにつながります。
8-3) スコアだけでは語れない医学部が「本当に見ているもの」
読む前は「とにかくIBで高スコアを取れば合格できるのか」と思われるかもしれません。しかし、実際の合格者たちの声を聞くと、スコアだけでは決して語れない世界があることが見えてきます。同じ高校から受験した複数名の中から、合格できた生徒は比較的低いスコアだったということがあります。
岡山大学医学部に合格したある生徒は、IB最終スコア39点という数字で合格を勝ち取りました。これは横浜市立大学の40点以上という基準には届かない数字です。では、何が彼女を合格に導いたのでしょうか。
「志望理由書は、医療関係の体験をしていると書きやすいですし、強みになると感じました。私の場合は、医療関連の海外短期留学経験(3週間、トビタテ奨学金利用)や、ボランティアで行ったケア施設での活動が大きかったです」そのことに関しては誰がどんな質問をしても丁寧に意見を交えて返答できる自信があります。
また、CAS(創造性・活動・奉仕)の活動として2年間続けた子ども食堂でのボランティアをポイントにあげる生徒もいました。「幅広い世代の人々と交流することで、多様な価値観や生活状況に触れる機会も得られました。こうした経験を通じて、日本における貧困や、経済状況および家庭環境が健康に与える影響に関心を持つようになり、公衆衛生の視点から社会の不条理に向き合う医師を目指したいと考えるようになりました」
👇とにかく、いろいろ考えてみて。
これらの声から浮かび上がるのは、医学部の選抜が「医師としての適性」単なる学力ではなく、社会課題への関心、多様な人々と向き合う姿勢、そして「なぜ医師になりたいのか」という根源的な問いへの答えを総合的に評価しているという事実です。
8-4) 早期準備の重要性「IBDP開始前」から動き出す
医学科受験において勉強・各教科の偏差値アップは「早ければ早いほど有利」というのは、もはや受験界の常識です。しかしIB生の場合、この「早さ」の定義がさらに厳しくなります。
「医学部を目指す生徒さんにとっては、IBDPが始まる前の時期をいかに過ごすかが、その後の進路決定に大きな影響を与えます」
IBDPは高校2年・3年の2年間のプログラムです。1年では終えられません。
つまり、高校1年(インター校などでは卒業年の3年前の学年)はIBDPの準備年・プレIBDPとなります。
👇中学生からの行動が受験を変える。
この時期の決断と行動は非常に重要です。この期間の中盤にはIBDPの科目選択が行われ、学校の科目ごとの定員などの調整があります。大学入試に必要な科目を選択するわけですが、その選択希望科目をとれるかどうか、校内ではすでに競争となります。
さらにこの期間からの学習・課外活動が主に大学入試の願書や提出書類に書き込む内容となります。医学科志望理由書の「核」となる経験を始めているかは重要です。
もし何も始めていないなら、なにかに参加してきっかけを作ることから始めないと、手遅れになります。大きなことを始める必要はなく、既存の学校内ボランティア活動の機会に参加するだけでもかまいません。
何かをすでに始めている場合は、それを充実させるか、さらに他のことを行うか、またそれをどのように来年に活かしていくかというプランを作っていきます。
勉強だけではなく他の何かの実績が医学科合格には必要になりますから、他の何かを真剣に対策していくことができるのは、勉強が本格的に忙しくなるまえのプレIBDP期間が最適です。
次回第9話は
9. IBは“道具”ではなく“土壌”
です。簡単なまとめです。




