「IBDP高校から日本の医学部医学科へ」を実現するためのロードマップ
知っておくべき現実:IBDPから医学科合格は「偏差値」では測れない

の第6話です。

医学科に合格した生徒を読み解きます。

 

6. 不確実性の中で、確かなものを積み上げる

IBから医学部を目指す道は、偏差値という指標が通用せず、倍率も実質的な意味を持たない不確実性の高い世界です。

でも、不確実性が高いからこそ医学科を目指す受験生が2年間でできることは明確だと思います。

まずは、確かな学力という土台を、コツコツと積み上げること。それは、一般入試対策ではなく、IBDPの中で必要な学力です。しっかり授業を受け、宿題や課題をこなしていく。課題は何度も見直し、書き直していく。IBDPでの学びを合格のためではなく自分自身の成長のために誠実に向き合って学習すること。同時に、総合型や帰国生・海外生枠、海外大学など複数のルートを視野に入れ、柔軟に受験に必要な戦略を立てること。ここに一般入試対策を入れる必要はありません。

それらができたとき、はじめて「IBDPから日本の医学部医学科へ」という挑戦は、単なる「絵に描いた餅」ではなく、確かな手応えのある現実になります。

「国際バカロレアから医学部医学科入学」これは、実際に実績があるから説明する話です。

海外の高校を卒業して医学科へ入学した学生も言っていますが、受験の最大の敵は「モチベーション」です。

受験は長丁場です。IBDPだけでも2年間のハードなプログラムであり、その先に医学部入試(面接、小論文、場合によっては共通テストや二次試験)が待っています。

 

 

「IBDPコースに入らなければ医学部に行けない」という焦りや、「特別選抜枠に入らなければ」というプレッシャー。単純に、成績がよいから医学科へ進学したいというだけでは、この長い道のりを乗り越えるのは容易ではありません。逆に、IBの授業そのものに没頭する中で「もっと深く学びたい」「この興味を突き詰めた先に医学がある」と自然に思えたとき、そのモチベーションは何ものにも代えがたい原動力になります。

IBDP1年目で「結果として医学科を目指した」という人の共通点

「高校でIBDPコースに進み、結果として医学科を目指した」という人たちは、どのような道を歩んできたのでしょうか。

【共通点1:IBの授業そのものが“きっかけ”になっている】

ある現役のIB生(現在医学部を目指して準備中)は、こう話します。

「最初は医学部なんて考えていませんでした。でも、Biology HLで扱う遺伝子疾患の単元がきっかけで、『なぜまだ治療法のない病気があるのか』『医療の現場ではどのように研究と治療が結びついているのか』と調べるうちに、自分もこの分野で貢献したいと思うようになりました。夢物語のようですが、自分で遺伝子に関していろいろ調べていく中で、それはあまりに難しく、そのようなことを研究して実際に治療に役立てることができた例があることを知ると、自分のやっているこの勉強の先にあるものが見えてきました。つまり、不可能ではなく、自分でもできると感じました」

 

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IBの理科や数学は、単なる知識の詰め込みではなく、「科学は社会とどう関わるのか」「倫理的な判断が求められる場面で、私たちはどう考えるべきか」といった深い問いを投げかけます。そうした学びの中で、「知りたい」が「なりたい」に変わっていく。それが、自然な進路選択の姿です。

【共通点2:CASやTOKが「医師としての在り方」を考えさせてくれる】

IBの核となるCAS(創造性・活動・奉仕)やTOK(知識の理論)は、医学部志望者にとって想像以上に大きな影響を与えます。

例えば、ある卒業生はCASの活動として地域の高齢者施設でのボランティアを続ける中で、「医療技術だけでなく、患者さんの生活全体を理解する姿勢が大切だ」と実感し、それが総合診療医を志す原点になったと語ります。幼稚な言葉で話しかける現在の高齢者施設での対応。それは、医学的に正しいのかと感じたと話します。海外有名大学心理学部への受験と合わせて、国内医学科を受験し合格しています。

また、TOKでは「知識とは何か」「科学は客観的なのか」といった哲学的議論を通じて、医学という学問の前提や限界について批判的に考える力が養われます。こうした視点は、面接で「なぜ医師になりたいのか」を問われたときにも、単なる「人を助けたい」ではない、深みのある言葉として表れてきます。

 

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【共通点3:結果として、出願の選択肢が広がっている】

「医学部ありき」でIBを選んだわけではない生徒は、医学科と他の学部を併願し、結果的には医学科ではない学部へ進学する生徒が多くいます。もちろん、医学科に合格しなかったことが主因にはなりますが、医学科に絶対に合格するとは限らないこと、医学科以外に興味があり、その学科へ満足して進学している傾向があります。IBDPコース卒業生の場合は浪人してまで医学科を目指すことはしません。また、IBDPコース卒業後の浪人は多少難しく、現役で大学を選び、進学し、もしコースに不満があればそこから学部編入の道を模索します。

IBDPで培ったスキル(批判的思考、リサーチ力、プレゼンテーション能力)を武器に、医学部医学科特別選抜だけでなく、他の学部の総合型選抜、あるいは海外大学理系学部など、複数のルートから自分に合った進路を選んでいます。

次回は
7. 医学科合格への道
で、合格者の実例から、どうすればよいのかを考えます。