子どもが英語教育で壁にぶつかったら?
~「多言語体験」が拓く新しい言語習得の道~


わが子に英語を身につけてほしい──。早期英語教育や家庭での「おうち英語」に熱心に取り組む保護者が増えています。習い事ランキングでも常に上位に入る英語教室。しかし、「子どもがなかなか興味を持ってくれない」「続かない」という悩みを抱える親御さんも少なくありません。

英語だけが「外国語」ではない

 

 


そんなとき、一つの選択肢として考えてみたいのが、いったん英語から離れて他の言語に触れてみるという方法です。フランス語の響き、中国語のトーン、スペイン語のリズム……。英語とは異なる言語に触れることで、「外国語とは何か」を体感するきっかけになることがあります。

「英語ですら大変なのに、他の言語まで?」と思われるかもしれません。しかし、ここでの目的は第二言語をマスターすることではなく、「日本語とはまったく異なる体系がある」という“気づき”を得ることにあります。

つまずきの根底にある「なんとなく」の壁


多くの場合、子どもが英語でつまずく原因は、「外国語」というものの本質を直感的に理解できていないことにあります。日本語と英語が根本的に異なる文法体系、音声、考え方を持つという実感がないまま学習を進めると、どこかで壁にぶつかります。

実はこれは保護者の方にも当てはまることがあります。「なんとなく英語が大事」という漠然とした意識では、子どもに「なぜ学ぶのか」を伝えるのは難しいものです。

また、このような「外国語というもの」の理解は大人でもできていない人が多いです。しかし、それが子どもにとって何の問題になるのかを理解していないので、英語教育がうまくいかないことの理解ができません。

 

 

多言語体験が育む「言語へのまなざし」


他の言語に少しでも触れることで、子どもたちは自然と気づきます。

「言葉によって音の出し方が違う」

「語順がまったく異なることがある」

「文化と言葉は深く結びついている」

こうした気づきは、後で英語を学び直すとき、大きな財産になります。「外国語を学ぶとはこういうことか」というメタ認知が働き、英語学習へのアプローチが変わってくるのです。

言語学習は「視野を広げる旅」


英語は確かに有用なツールです。しかし、言語教育の本来の目的は、特定の言語をマスターすること以上に、多様な世界への窓を開き、思考の幅を広げることにあるのではないでしょうか。

 

 

わが子が英語に今ひとつ興味を示さないとき、一度深呼吸して、「じゃあ、世界には他にどんな言葉があるのか、一緒にのぞいてみようか」と誘ってみてはいかがでしょうか。その小さな冒険が、結果的に言語そのものへの好奇心を育み、英語学習にも良い影響を与える──そんな逆説的なアプローチも、時には有効なのです。

言語学習の道は一本道ではありません。回り道のように見える経験が、実は豊かな学びの土台を作ることがあります。子どもの興味とペースを大切に、多様なことばの世界に触れる機会を作ってみてください。