東京に新設される国際バカロレア校:日本語DPと英語DPの併設とは
国際社会で活躍できる人材を育てるため、東京都教育委員会は国際バカロレア(IB)を学べる都立高校の増設に向け、本格的な検討に入った。
01 国際バカロレアとは何か?
国際バカロレア(IB)は、スイス・ジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムです。
1968年に始まり、世界160以上の国と地域で実施され、国際的に通用する大学入学資格を得られることが特徴です。
IB教育は暗記中心の詰め込み教育ではなく、双方向・協働型の授業を通じて、探求スキルや課題発見・解決力を身につけることを重視しています。
日本の教育が教科ごとの知識習得を重視するのに対し、IBは教科横断的なテーマ学習や「探究型学習」 を核としています。
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02 IBディプロマプログラム(IBDP)の基礎知識
IBDPは16~19歳を対象とした2年間のプログラムで、所定のカリキュラムを履修し、最終試験で一定のスコアを収めると、国際的に通用する大学入学資格が取得できます。
つまり、高校2・3年の2年間がIBDPと言われ、2年間継続のコースです。通常、このIBDPに途中から編入学はできません。(非常に例外的な措置も世界的に見れば適応されて編入が許可されることはあります)
6科目群から各1科目を選択:言語と文学、言語習得、個人と社会、科学、数学、芸術
3つのコア要件:知識理論(TOK)、課題論文(EE)、創造性・活動・サービス(CAS)
IBDPには全科目を英語で履修するプログラム(第二言語としての外国語はもちろんその言語での学習)と、一部科目を日本語で履修できる日本語DP(2科目は必ず英語で学習)の2種類があります。
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03 都立国際高校の現状と限界
現在、東京都立高校でIBコースを設けているのは都立国際高等学校のみです。
同校は2015年に日本初の公立IB認定校となり、IBディプロマプログラムを全て英語で実施しています。
都立国際高校のIBコースは人気が高く5~7倍程度の入試倍率を記録しています。
しかし、同校のプログラムはほぼ英語のみで授業や試験が行われるため、国内で生まれ育った生徒にはハードルが高いという課題があります。また、入試に数学が課されており、数学重視姿勢が鮮明です。公立学校ですが、セレクテッド校としてみなされます。
04 新設校の計画と特徴
日本語と英語の両方で学べる環境
都教委が新設を検討している学校では、英語と日本語両方の科目を設置する予定です。
これにより、公立中学を卒業した生徒にもIB教育を受ける環境が広がると見られています。
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国際金融コースの設置
新設校では国際金融について学ぶコースを設ける予定で、これは全国初の取り組みとなります。
ビジネスの全般的な知識や、金融取引の基本的な理論や実務について学ぶことができるとされています。
規模と競争力強化
新設校は1学年40名程度の2クラスの定員規模となる見込みです。つまり、1クラス20名程度。これは、一般的な国際バカロレアIBDP校としても、少人数クラスとなり、教師の目が行き届く理想と言われています。
この取り組みには、少子化が進む中で都立高の競争力を高める狙いもあります。
05 東京都の国際教育への取り組み
東京都は国際都市としての魅力を高めるため、インターナショナルスクールの誘致や支援を積極的に進めています。
現在、東京都が各種学校として認可し、支援対象としているインターナショナルスクールは14校にのぼります。
都は認可を受けたインターナショナルスクールに対して運営費補助などの支援を行っており、2025年11月からはより包括的な支援スキームが始動予定と報じられています。
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06 国内におけるIB教育の広がり
文部科学省によると、国内のIB認定校は約100校以上にのぼり、高校レベルのディプロマプログラム(DP)は国内で77校が認定されています(2024年9月30日時点)。
公立校では日本語DPを導入する学校が増加しており、12道府県12校で実施されています。
首都圏にはIB認定校が32校あり、そのうちディプロマプログラムを実施しているのは17校です。
07 IB校人気の背景と今後の展望
国際校人気の背景には、日本の公教育に対する保護者の不満があると指摘されています。
教育社会学が専門の岡本智周教授は、国際校人気上昇を「日本の公教育の『弱体化』の兆候」 と分析しています。
IB校卒業生は海外大学だけでなく国内大学にも進学でき、国際バカロレア資格を活用した入学制度を設ける国内大学も増えています。
「若い日本の保護者には、子どもに世界的に活躍してもらいたいという願いが強まっている」 と言われます。
国際バカロレア教育の需要が高まる中、東京都の新たな取り組みは多様な背景を持つ生徒たちに門戸を開く画期的な試みです。
この新設校が、日本語と英語の両方で質の高い国際教育を受けられる場として機能すれば、東京の国際競争力向上に大きく寄与することでしょう。
都立高校の新たな挑戦は、日本の公教育の国際化に向けた重要な一歩となる可能性を秘めています。
なお、東京都が参考にしたのは、広島県における国際バカロレア教育で、引き続き広島県の教育改革と東京都の教育改革には目が離せない状況ですね。



