国際バカロレアが育てる「問題解決のできる人材」:文学の読解から見えるIB教育の真価


あるIB卒業生は、広告分析の授業で「たった1枚のポスターから、文化、経済、社会心理学までも読み解く方法」を学びました。

「この詩の正解は何ですか?」と質問する日本の生徒と、「この詩から何を読み取り、どう考えるか」を問うIBの生徒。この「答えを探す教育」から「問いを探す教育」 への転換こそが、国際バカロレア(IB)と日本の一般的な学校教育の決定的な違いです。

文学の読解が象徴するもの
 

IBの文学読解では、「正解は一つではない」ことが前提です。しかし「なんでもあり」ではありません。文中の具体的な根拠に基づいて解釈を組み立てる力が求められます。

日本の教育では「作者の意図を答えよ」という問いが典型的ですが、IBでは「あなたはそのテキストから何を読み取り、どのように考えますか?」という問いが中心になります。この違いは、単なる教学方法の違いではなく、人間の知性に対する根本的な考え方の違いを反映しています。

高校からIB校に進学した生徒が気づく「違い」
 

高校から国際バカロレア校に進学した生徒たちは、最初の数ヶ月間、大きなカルチャーショックを経験します。

従来の教育からIBへの転換で直面する主な相違点

評価基準の違い:日本の学校教育では知識の量が評価される傾向が強いですが、IBでは批判的思考力と分析的思考力が重視されます。

授業の進め方:IBプログラムは、探究型学習モデルを通じて、生徒たちが批判的に考え、既存の前提に疑問を投げかけることを奨励します。

学習の目標:IBのプログラムは、生徒を高等教育に備え、グローバル化した世界で成功するために必要なスキルを身につけさせることが目的です。

この環境の変化は当初は困難をもたらしますが、約6ヶ月から1年を過ぎた頃から、生徒たちの思考プロセス自体が変容し始めます。そこからが国際バカロレアコースのだいご味となります。つまり、見えている社会が明らかに変わっていきます。それは、社会が変わったのではなく、社会に対する自分のアプローチが変化しているためです。

 

この変化は、親には理解できません。たとえ高校で勉強を並走していっても、国際バカロレア、特にIBDPにおける学習は、親が太刀打ちできるものではなくなります。

IBがもたらす思考の変容
 

IBの教育を2〜3年経験すると、生徒の考え方や発想そのものに目に見える変化が現れます。この変容は、IBの「学習者像」として具体化されている資質に如実に表れています。

探究する人:好奇心を育み、独自に学び、他の人々と共に学ぶ姿勢。

考える人:複雑な問題に対して、批判的かつ創造的に考えるスキル。

心を開く人:自己の文化と個人史を正しく受け止めつつ、他の人々の価値観や伝統の真価も認める態度。

これらの資質は、単なる学力ではなく、社会で実際に問題解決を行うために必要な人間力を育成するための基盤となります。

大学がIB入試枠を拡充する理由
 

世界中の多くの高等教育機関は、IBディプロマを優秀な成績の基準として認めており、IB卒業生を優遇したり、単位を付与したりするケースが多くあります。日本の大学も例外ではなく、国際バカロレア入試枠を拡充し、IB卒業生の獲得に積極的です。

IBDPの価値を理解している世界中の大学は、IBDPの卒業ができていれば、つまり認定書がもらえるのであれば得点は気にしないで入学許可をだす大学が多くあります。

大学がIB卒業生を重視する理由は明らかです。

IB修了生に期待される能力:

自主的な学び手:IBのカリキュラムは、自律的に学ぶ意欲を重視するため、大学の学びにスムーズに移行できます。

分析的思考力:IBDPを修了した生徒は、批判的思考力と問題解決能力を身につけており、大学教育の厳しい側面に備えるための準備がより整っている場合が多いです。

多角的視点:異なる意見や文化にも「それぞれに理があり得る」 と理解できるバランス感覚は、大学の多様な環境で不可欠です。

IBの真価は単なる点数ではなく、「諦めずに考え抜く力」を育てる点にあります。このような学生は、大学在学中のみならず、社会に出てからも自ら価値を創造できる人材として成長していくのです。

教育の選択肢としてのIB
 

IBは万能な教育プログラムではありません。しかし、グローバル化が進む世界で活躍するための素地を育てるには、非常に効果的な教育システムです。

「出る杭は打たれる」という考え方がまだ根強い環境とは異なり、IBの学習者像が目指すのは、多様性を尊重し、自ら考え、行動できる人間です。

もしあなたが、我が子に「正解のない問い」と向き合う勇気と力を身につけてほしいと願うなら、国際バカロレアという教育は、従来とは「違う」だけでなく、未来を生きる上で貴重な「違い」を育む選択肢となり得るのです。

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