「土曜日の朝7時、IB生のリビングで起きる『朝食会議』とは?」
毎週土曜日の早朝、IB生の家庭では不思議な光景が見られます。眠そうな目をこすりながらも、家族全員がリビングに集まり、パンケーキを囲みながら熱い議論を交わしているのです。これは「IB朝食会議」と呼ばれる、ある生徒たちが自然発生的に始めた新しい学びの形です。
17歳のIB生・菜々子の家では、毎週この時間が特別な意味を持っていました。父親は経済雑誌の最新号から気になる記事を印刷し、母親は海外ニュースで見つけた社会問題を話題に提供します。中学生の弟でさえ、学校で習ったばかりの理科の知識を披露します。
「今週のCAS活動で気づいたんだけど、地域の高齢者の8割がフェイクニュースを信じやすいってデータがあるみたい。TOKの『知識と信頼』の議論に使えないかな?」
菜々子がそう切り出すと、父親がコーヒーカップを置いて応じます。
「面白いね。それなら、僕が持ってきたこの記事も参考になるよ。SNS時代の情報リテラシーについて書いてある」
驚くべきは、これが単なる家族の会話ではないことです。菜々子はこの議論をそのままEE(課題論文)の第3章「デジタル時代の知識伝達」に反映させ、弟は学校の自由研究で「高齢者のメディア接触調査」を始めました。母親が提供したニュースは、CASプロジェクト「多世代向け情報リテラシーワークショップ」のきっかけとなったのです。
IB校の田中先生はこう語ります。
「最も優れた学びは、教室の外で起こります。朝食という日常的な場で、学問と現実がどう結びつくかを体感できるのは、IB教育の理想形です」
ある土曜日、特別なゲストが加わりました。菜々子のEE指導を担当する経済学のウィルソン先生です。先生は「家庭での学びの深さを見たくて」と、自ら志願して参加したのでした。先生は学校で教えるだけでなく、現在大学院において国際バカロレアにおけるEEなどについての論文を書いています。
「IBで求められる『実社会との結びつき』が、このテーブル上で自然に実現されています。これこそが真の国際バカロレア精神です」
午前8時、会議はいつものように「今週のアクションプラン」で締めくくられます。今日はゲストのために皆がしっかりとした服装をして、髪も整えられていました。それでもやっていることはいつものことでした。
👇国際バカロレアの緑の本で有名です。2026年版。
菜々子の家の冷蔵庫には、毎週更新される「学びのメモ」が貼られ、家族全員が自由に書き込めるようになっています。
「来週は、おばあちゃんも招いてみようか」
母親のその言葉に、ウィルソン先生は思わずメモを取っていました。この「IB朝食会議」が、新しい教育の形として広がっていく予感がしたからです。
◆今日の気づき
「学びはもっとも身近な食卓から」
→IBの「学習者像」が家庭で自然に育まれる瞬間

