大変な災害となった東日本大震災!
その復興をどのように行ったのか!?
結論は、都市再生機構(UR)が採用した「復興CM方式」でした。
この思想が国土交通省では、多様な発注方式の1つに加えられています。
建設費が高騰している現在、改めて注目を集めているようです。
復興CM方式は、何が新しく、復興事業に導入した国土交通省の意図は何か、建設会社の関心の的とは何か……。
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民主党政権時代の2012年4月10日、国土交通省が、復興事業で新しい入札・契約方式を導入する考えを明らかにしました。
復興CM方式が走り出した瞬間です。
東日本大震災では、早期復興が求められていました。
しかし、被害が甚大で広域なため、大規模で、かつ高台移転など長期間を要する事業でした。
被災自治体にそれらを早期に進める人的・資金的余裕がありません。
また、復興には、地元建設業の再生が不可欠という課題もありました。
これらの問題の解が「復興CM方式」だったのです。
日本リノベーション・マネジメント協会の「価格開示方式」の思想の一つに「元請と専門工事業者の役割分担の透明化」があります。
復興CM方式では、「大手と地元建設業の役割分担の透明化」でしょうか。
両者の思想が同一ということが見えます。
復興CM方式は、大規模土木工事の実績を持つ大手建設企業がCMR(コンストラクション・マネジャー)となり、地元建設企業が一次下請けとして工事を実施しました。
やはり、復興CM方式でも、確実に地元企業活用を担保するためは、「オープンブック方式」を取り入れることが必要でした。
CM方式は、これまでも公共事業での採用の必要性を叫ぶ声が上がっていました。
それにもかかわらず、つい最近まで敬遠されがちでした。
そんなに普及しなかったのは、行政側に十分なノウハウがなかったので、魅力を感じなかったからではないでしょうか。
それでも復興CM方式には、関心が集まりました。
これは、マネジメント業務に加えて施工のリスクもCMRが負う「アットリスク」的なCMを指向しているからだと思います。
復興CM方式をアットリスク型にしたことにより、発注者とCMRの契約は「請負契約」となります。
しかも、工事原価に定められたフィー(報酬)を加算された金額が支払われます。
場合によっては、設計業務も「請負契約」で設計原価にフィーが加算されます。
建設会社の知恵とノウハウで勝負でき、確実(ローリスク・ローリターン)な利益を見込めるのが建設会社の関心を集める理由の一つだと思います。
マンション大規模修繕工事でも有力な発注方式です。
価格開示方式という名称で浸透しています。