築40年超の高経年マンションは、建物の老朽化と居住者(区分所有者)の高齢化という「二つの老い」に直面しています。
これに対応するため、「区分所有法」の改正が行われてきました。
また、現在開会している国会でも「区分所有法」の改正が審議されています。
如何に建て替えしやすい区分所有法にするかが課題ですが、建て替えやすい法律になっても、マンションの終末期になればいろいろな問題が発生します。
中でも建て替えたい派、建て替えたくない派などの果てしない抗争が繰り返し行われます。
低経年マンションの修繕積立金の値上げでさえ、年金生活者の反対は激しいものがあります。
そのような問題を解決して、建て替えの決議がされたとしても、その後も多くの課題が待っています。
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管理組合の解散、修繕積立金の精算、マンションの取り壊しまでの管理について解説します。
■管理組合の解散
建替え不参加者が売り渡し請求を受け、建物や敷地の権利が建替え参加者側に帰属したとき、区分所有法第64条の「建替えに関する合意」に基づき、建替えの合意が成立します。
この建替え合意が成立すると、旧マンションの維持存続、管理を目的としていた管理組合は法律上消滅し、解散することになります。
管理組合を解散する際は、修繕積立金の精算を目的とした解散集会を開催します。
■修繕積立金の精算
修繕積立金の精算は、建替え決議をした時点での区分所有者に分配するのが一般的です。
過去に積み立てはしていたものの、建替え決議の時点で区分所有者ではなくなっている人に分配する必要はありません。
また、建替え決議の時点で区分所有者であれば、たとえ建替え反対者だったとしても配分をするのが適当だと考えられます。
配分は区分所有法第19条の「共用部分の負担及び利益収取」にのっとり、各住戸の持分により分担されます。
なお、区分所有者全員が建替えに賛成している場合は、その全員の合意があれば修繕積立金の残額を建替組合に引き継ぐことも可能です。
■取り壊しまでの暫定期間の管理
旧マンションが実際に取り壊されるまでの暫定的な期間も、建物や敷地の管理が必要です。
その管理費は特に定められていない場合は従前の管理規約に基づき支払う必要があります。
ただし、管理は必要最低限にとどまると考えられますので、暫定的な居住者が必要となる金額を実費負担することが現実的です。
以上が一般的な手続きですが、具体的な手続きは専門家に相談することをお勧めします。
これらの情報がお役に立てば幸いです。