建築物が持つ美しさとは、建築物の形や構造、素材や色彩などが、人間の視覚や触覚、空間感覚などの感覚に訴えるものです。

 

 建築物が持つ美しさは、時代や文化、地域や風土などによって異なります。

 

 例えば、古代エジプトではピラミッドやスフィンクスなどの巨大で神秘的な建築物が美とされましたが、古代ギリシャではパルテノン神殿やアクロポリスなどの優雅で調和的な建築物が美とされました。

 

 また、日本では木造建築や茅葺き屋根などの自然と一体化した建築物が美とされましたが、西洋では石造建築やドームなどの人間中心で壮大な建築物が美とされました。

 

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 一般的に以下のような要素が重要と考えられています。

 

比例と調和

 

 建築物の各部分が適切な比率で組み合わされていること。また、建築物が周囲の環境や目的に合っていること。例えば、パルテノン神殿と東大寺大仏殿などの建築物を見れば、日本と西洋の違いが明確になります。


均衡と対称 


 建築物の左右や上下が均等に分布していること。また、建築物が安定感や秩序感を与えること。


リズムと動き


 建築物に繰り返しや変化があること。また、建築物が視線を誘導したり、空間を展開したりすること。

 

素材と質感

 

 建築物に使われる材料や表面の触感が美しいこと。また、建築物が光や影を生かしたり、温度や湿度に応じたりすること。

 

色彩と明暗

 

 建築物に使われる色や明るさが美しいこと。また、建築物が気分や雰囲気を表現したり、コントラストを作ったりすること。

 

 日本の建築物が持つ美しさは、自然と調和し、簡素で洗練されたものが多くあります。

 

 木造建築や茅葺き屋根などは、日本の風土に適した素材です。また、障子や床の間などは、光や影を効果的に使っています。

 

 さらに、畳や庭などは、比例やリズムを大切にしています。

 

 一方、西洋の建築物が持つ美しさは、人間中心で豪華で壮大なものが多くあります。

 

 石造建築やドームなどは、人間の技術力を示す素材です。

 

 また、柱頭や彫刻などは、細部まで装飾されています。

 

 さらに、アーチや尖塔などは、均衡や動きを強調しています。

 

 もちろん、これらは一概に言えることではありませんが、日本と西洋では建築物が持つ美しさの基準が異なることがわかります。

 

 日本の建築物が持つ美しさは自然と一体になることを重視するのは、仏教や神道などの宗教観や、地震や台風などの自然災害に対する対応が影響していると言われています。

 

 西洋の建築物が持つ美しさは人間中心であることを重視するのは、キリスト教や古代ギリシャ・ローマ文明などの文化的背景や、科学技術や政治経済などの社会的要因が影響していると言われています。