あなたは今住んでいるマンションにどれくらい住み続けたいですか?

 私は今住んでいるマンションを終の棲家にしたいと考えています。

 

 その理由は二つあります。

 一つ目は、私はマンション生活に慣れており、快適だと感じているからです。

 二つ目は、木造一戸建てよりも長く住める可能性が高いからです。

 

 木造一戸建ては30年程度で老朽化すると言われていますが、マンションは60年以上持つことが見込まれます。

 しかし、長く住むためにはメンテナンスが欠かせません。特にマンションでは大規模修繕を定期的に行わなければなりません。

 

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 ここで、マンションのメンテナンスや建て替えに関する法律の歴史を少し紹介しましょう。

 

 最初、区分所有法ができるまでの「民法」では、以下のように規定されていました。

 

「数人にて一棟の建物を区分し各其一部を所有するときは建物及び其附属物の共用部分は其共有に属するものと推定す。共用部分の修繕其他の負担は各自の所有部分の価格に応じて之を分つ」(現在は削除されている第208条)

 

 マンションができるまでは「区分所有」といってもせいぜい平屋や2階建て程度の「縦」だけの区分を想定していたようで、マトリックスの区分による所有形態を想定していませんでした。

 

 このような規定では、マンションがもたらす法律関係を処理できなくなりました。

 一戸建てや長屋建てを中心としていた「土地と建物」の規定では、マンションでは対応ができなくなりました。

 

 そこで、民法の特別法として「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」が1962年に新しく制定されました。

 

 区分所有法ができるまでは、共有者全員の同意で修繕をしなければならないものが、以後は多数決によりできるようになりました。

 

 また、民法では、土地と建物を分離して所有することができますが、区分所有法では、分離所有ができなくなりました。

 

 このようにマンションは、簡単に維持保全を行えるようになり、長持ちさせることができるようになりました。

 

 しかし、形があるものはいつか壊れます。マンションも例外ではありません。

 マンションの建て替えの法改正が進んでいますが、現在でも簡単ではありません。

 

 建て替えの障害は、構造も一因でしょうが、大きな要因は所有形態です。

 

 マンションは、一つの建物に多くの部屋があり、「縦と横」で区分所有されます。

 このような所有形態では、建て替えするための手続きが複雑になります。

 

 それでも、私は今住んでいるマンションに住み続けたいと思っています。