いつの頃からか、お正月を迎えるたびに「今年も良い年になりますように」と願うのが恒例となりました。
私の歩んできた75年、世界ではさまざまな出来事がありました。しかし、私たち日本人にとって何よりの果報は、生まれてから今日まで、一度も戦争を経験せずに済んだことではないでしょうか。
ふと10年単位で自分の人生を切り取ってみると、決して悪い道のりではなかったように思います。もちろん、「あの時に戻れたら、別の道を選んでいたかもしれない」と、ふと立ち止まる瞬間もあります。
人は一日のうちに、驚くほど多くの「問いかけ(自問)」や「願い」を繰り返しているそうです。それらは時にネガティブであり、時にポジティブであり、私たちの感情を揺れ動かします。
私が「自分の問いかけを、良い方向へマネジメントしよう」と意識し始めたのは、60歳を過ぎてからでした。
それまでの私は、常に二者択一を迫られる日々の中で、無意識にネガティブな自問を繰り返していたことに気づいたのです。
例えば「仕事がうまくいくかな?」という問い。一見普通ですが、その裏側には常に心配事や不安があり、無意識のうちに「できない理由」や「ネガティブな要因」を探しては、自己嫌悪に陥ることもありました。
そこで私は、自問の形を「ポジティブな方向」へ変えてみることにしました。
例えば、朝の妻の顔色を見て「今日は疲れていないかな?」と問いかけ、労わりの言葉をかける。
仕事においても、不安な要素に目を向けるのではなく「どうすれば、より良い仕事ができるだろうか?」と、安心や希望にフォーカスするようにしたのです。
「どうしてできないんだろう」という後ろ向きな問いを、「どうすればできるようになるだろう」という肯定的な問いへ。
ほんの少し言葉の向きを変えるだけで、心は自然と前を向き始めます。
穏やかな日々を過ごすために、これからも自分自身へ「心地よい問いかけ」を続けていきたいと思っています。