大きい稽古場になると隣や上の階の稽古場に今までの共演者が違う作品の稽古している事が良くあるのだが、トイレくらいでしか僕は稽古場を出ないから残念ながら知り合いに会う事は殆どない。特にコロナのあれこれで知り合いとは言えど他の現場の稽古場を覗くのは難儀な行為になってしまった。

昔はドキドキしながらも失礼しまーす、とこそっと稽古場を覗いたりして手を振ったりと女子力高めな行為をしていた通称きゃぴるん時代を思い出す(多分きゃぴきゃぴるんるんの略)

お世話になった先輩が同じ建物にいるという事で何回か廊下をうろちょろしたけれど全く遭遇出来ず、でもどうしても顔を見たかったのであの自分が珍しく連絡を取った、少しドキドキした事を覚えている、そう私はメールやTwitter更新ですら自意識過剰になってしまうとドキドキする人種なのだ。

連絡を取っても中々会えない日々が続き

気が合わないなあと言われてしまったので、気は合うけど休憩時間が合わないだけです!と連絡をしていたら、廊下で俳優さんぽい人に話しかけられる。

久しぶり!!覚えてる?と言われる。声を掛けられるという事は仲が良いはずだ、なのにマスクの所為なのか全然ピンと来ない。え!?えーーっと!と、とりあえず大袈裟に大声で悩んでいたら、俺!〇〇だよ!と言われる。ああ!〇〇さんか!?とおうむ返しをして思い出す時間を稼ごうとした瞬間に〇〇の作品!!のと言われる。

ふう

危なかった。危なかった、知ったかぶりをかます所だった。

すみません〇〇という作品は僕出てませんと、正直めちゃくちゃ胸を撫で下ろす自分。そしてめちゃくちゃテンパって、え!?ごめん!とトイレに消えるその人。誰と間違えたのかなもしかしてジャスティンビーバーとでも見間違えたのかな。

その人のテンパり具合を見て

会いたい人にはそう簡単に逢えないんだな

タイミングが合うってのは奇跡なんだなと結局先輩と会えなかったのは今は会わなくても良かったんだと肯定する事に決めたのでした。

と思っていたらきっと色んなタイミングが積み重なって大昔のサッカー時代の友達が舞台を観劇しに来てくれたりする。

そしてタイミングはチャンスと似ているんだなと気付く。

チャンスの神様は前髪しか無いと良く言ったもので。つまり後頭部はつるっぱげだから好機はすぐに掴め、さもなくば後ろから、後から捉える事は出来ないというなんか面白い例え。

いや、そんな貴重な神様の前髪鷲掴みしたら失礼では無いのか?と思うが前髪しか無い神様と仲良くなりたいしめちゃくちゃ髪型を弄りたいと思うのは僕だけでは無いはずだ。