「説明をここで1からやろうとすると

膨大な時間がかかる」とペンギンは言う。

 

私は頷きレモネードを一口飲む。

 

ペンギンも一口飲む。

 

ペンギンの表情からなにかを読み取ろうとするが、

そもそも表情がない。

 

実に哲学的なうつむき加減のその顔からなにかしらの感情めいたものを読み取ることは不可能だ。

 

終始うつむきかげんで、まるで誰も寝ている人を起こさないように

「マイフーリッシュハート」を弾いているジャズピアニストのようだ。

 

「レモネードを飲み終わったらあの上の信号を鳴らしている人のもとへ行ってみよう。

実際に見てもらったほうが早い」

 

「誰かがあれを鳴らしているのね」

 

「うん。夢機関の人たちがね。困っているみたいで僕らを呼んでいる」

 

「夢機関?」

 

「まあ、行けばわかる。君が落ち着いたら、出発しよう」

 

「私はいつでもいいけど」

 

ペンギンはため息をつく。

 

「せっかちだなぁ、急がなくても僕らはこれからとても忙しくなるんだ。

まるで君は卒業したら嫌でも働くなくちゃいけないのに、バイトに明け暮れる

大学生のようだよ」

 

「そうかしら」と言って私は気持ちを落ち着けるためにレモネードを一口飲む。