『ローマ物語』

ジュンパ・ラヒリ『ローマ物語』(中嶋浩郎訳、新潮社)を読みました。
この連作短篇集には、ローマの中でも観光客の目には触れる事の少ない場所(だが具体的な地名はほぼ出てこない)を舞台とし、外国に起源を持つ人々が多く登場する小説が収められているのですが、(三部で構成されている)どの小説にも疎外感や孤独感がそこかしこに顔を覗かせていて、読んでいる間及び読み終えた後に何度か天を仰いでしまいました。
とは言え、ジュンパ・ラヒリらしい小説だなと思いつつ読んでいったせいもあるのでしょうか、個人的には作者にとって「いちばん親しい場所と言える」「鼓手の大階段」(ともに229頁)の界隈での(海外駐在員の妻等)6人について書かれている「大階段」、外国に起源を持つ主人公の心情と悲しみが静かに、はっきりと伝わってくる「紙切れ」が強く印象に残りました。
※僕は1954年に発表されたアルベルト・モラヴィア『ローマ物語』については、まるで知りませんでした…。