「ダーティー・オールド・マン」
この小説は、「歯科医院を開業し、十分過ぎる成功を収めた主人公の男性が、一年前にALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断が下ったのを契機として『あてのない旅』(256頁)に出たところ、その旅先でかつての妻や娘によく似た女性を見かけ、声をかけ食事を共にしていると…。」と言った(割とありがちな気がしなくもない)内容なのですが、複数の土地に別荘を持ち、自家用車を数台所有してもまだ金に余裕がある一方、妻とは熟年離婚した上に娘は中国人の男性と再婚し彼女の夫の郷里で暮らしている主人公の現状が読んでいて少し羨ましくなってしまい、本来であれば(小説の序盤に置かれている九州の温泉地での逗留先の宿で、主人公が現金を盗まれる事も含めて)主人公が陥ってしまう事態に対して「自業自得」だ等と冷ややかに見ないといけないところ、やや同情的な視点で読んでしまい作者の意図通りの読み方をしていないかもしれないなと思う瞬間もあったり等して、我ながら集中力が足りないなと感じました。
そして、遊園地のジェットコースターの近くで妻や娘そして憧れの女性に似た女性に会った上に食事を共にするだけでなく、その食事中に小説の中の様な(男女が入れ替わる)悪夢を見せられたら、僕は僕は卒倒するだろうなと読んでいて思いました。
しかし、主人公の性格にふさわしいタイトル、つけ方が上手いですね…。
