「私の獲物が、」 | F9の雑記帳

「私の獲物が、」



 小泉綾子「私の獲物が、」(『文藝』2026年夏号所収)を読みました。
 文藝賞受賞第一作。
 冒頭の主人公・戸田那美の小学生時代の夏の思い出の描写には驚かされた(“衆議院第二議員会館の屋外プールの中でおしっこした”と日記に書くって…。)ものの、自身の事を「ワイ」と言う主人公・那美が国会議員の秘書だった父親・戸田昌家の言葉を忘れずにいる一方、妊娠や出産あるいは子育ての大変さから男性(特に夫・芳雄)への憎しみの度合いが否応なく増していく状況の下、男性優位の社会に風穴を開けて自分が自分らしくあるために苦闘する内容は、読んでいて(主人公の口の悪さとキツめの台詞のせいもあるのでしょうが)僕自身に言われているようで舌に苦い味を覚えたり胸が苦しくなる場面も若干ありましたが、小説の全体を通じて緊張感が半端なく高くてかなりハラハラしました。
 しかし、出産や子育て、子供への命名等の行為は女性にとって物凄く大変で大切だろうと思うのに、衆議院選挙に関しての様々なや主人公の夫の浮気を絡めた小説に(子育て中の身だから忙しいのは分かるとは言え、国会議員の浜田文夫のツィッターに不倫を匂わせる内容の文章を書き込んでしまうぐらいの性格である)主人公の様な人物をこの小説に登場させるなんて、作者も随分酷な事をするなと思いました。
 ああ、ディズニーランドへの入園後、主人公夫妻と子供(茂/宗介)に幸運が訪れるますように…。(←祈っても詮無い事ですが。)