「根津ハイツ400」

長井短「根津ハイツ400」(『文藝』2026年夏号所収)を読みました。
特集1「失恋、あるいは恋の不可能性」の中の1篇。
この小説には、“マンションの301号室で暮らす主人公の橘朝が、隣の302号室の加護とある出来事をきっかけにして話をしたりするうちに一緒に食事をようになり、ついには一緒に食事する仲にまでなって…”と言う他人との距離が縮まっていく過程が描かれているのですが、(母親からお歳暮を引き取りに来いと連絡があったり、軽井沢に父親が住む家があったりするくらいに)裕福な家庭に生まれたせいなのか、途中主人公の不器用さに最初は歯がゆさを覚える場面もあったりしつつも、最後の場面は少し主人公と一緒に寂しくなりました。
とは言え、両親が離婚し、金銭に余裕がない家庭で育った(らしい)加護を応援する気にはなりませんでしたが。
でも、最後の場面の加護の行動、もし私が同じ立場だったらできたかなと思うと、できないような気がしました。
身分相応、不相応、か…。