「その国の奥で」 | F9の雑記帳

「その国の奥で」



 J・M・クッツェー『その国の奥で(原題:In the Heart of the Country)』(くぼたのぞみ訳、河出書房新社)を読みました。
 この小説は、1997年に村田靖子により『石の女』として翻訳された作品の新訳なのですが、南アフリカの人里離れた農場に住む独身女性のマグダが、母親は彼女を産んだ直後に死んでしまい、父親はほとんど喋らず彼女を愛さない父親と何人かの使用人と生活をともにする中で、何とか他者と対等に交流したいと願いつつも、父親に対して怒りをためてしまった末に起こした行動とその顛末を(妄想も含めて)描いているのですが、内容が盛り沢山すぎて途中気持ち悪くなるぐらいに圧倒されてしまいました。
 更に、巻末の「J・M・クッツェーのノワールなファンタジー」を読んで、クッツェーの作品を幾つか読んでいるはずなのに、南アフリカの歴史等について無知であることを改めて突きつけられたと感じました。
 ああ、(多くの人が指摘しているという)タイトルにコンラッド『闇の奥(原題:Heart of Darkness)』のHeart(奥)が含まれているということは考えもしなかったです…。