「オフィーリア23号」
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市川沙央「オフィーリア23号」(『文學界』2024年5月号所収)を読みました。
芥川龍之介賞受賞第一作。
この小説は『性と性格』を著し、「女は存在しない」と言い、23歳で自殺したオットー・ヴァイニンガーの生まれ変わりであると信じ、彼の主張を広めたい主人公が、三島由紀夫の『憂国』をリアルに映像化して完成後は素人のアダルト動画サイトPornhubにあげて収益化を目指す友人達の行動に(ある意味積極的に)巻き込まれていく日々を中心に描いているのですが、事あるごとに女性性が強調されているように僕には感じられて、読み終えた後取り残された気分になりました。
もっとも、小説の中で描かれている同性(女性)の友人達との(肉体関係を含めた)交友関係の描写は興味深く読みましたし、病院長である父親と(将来は父親の後継者となる事が約束されている兄、かつては主人公とともに父に殴られていた母親と言う)父親の力が強い家庭環境の描写は「あなたもなかなか大変な経験の持ち主ですね」と主人公に伝えたくなりましたし、主人公と友人達との三島由紀夫のに関する論議等も面白く読んだのですが、この小説の本筋とは余り関係がないので、先に書いた(感想の)内容を否定しきれなかったのかもしれません…。
あと、個人的な思いなのですが、エロネタ中心の展開は止めていただけると嬉しいです。