井戸川射子の短篇小説を2篇、読みました。


この小説の舞台は主人公が派遣されたある日のアルバイト先なのですが、小説の中盤までは何度も来ていてベテランだと言う”十代の人“が(主に美容について話して)会話の主導権を握っていたのに、地震が起きた後で主人公が発した阪神淡路大震災の際の記憶がきっかけで職場の雰囲気が変わってしまう展開で、読んでいて気分が若干晴れました。
そして、読み終えた後で、中身が空の単三電池の筒に傷がついていないか確認するというアルバイトに作者が目をつけた理由が最初は良く分からなかった自分を笑ってしまいそうになりました。
ただ、最後の数行の「この筒は、…深い池の」(153頁)は個人的には いらないかもしれないと思いました。
②「風雨」(『群像』2023年10月号所収)


この小説の舞台は高校2年の5月の長崎への修学旅行なのですが、まず風雨が激しくて予定変更になるのは可哀想だな等と思いつつも、生徒の様子を書くだけでなく教師の様子も細かく書かれているのが珍しいなと思いました。
次に、不満がたまる生徒もいれば、この程度なら大丈夫だと考える教師もいるのは当然な訳で、読んでいて何だか面白かったし、僕はまだまだ知らない事が多いなと改めて思いました。