「その音は泡の音」 | F9の雑記帳

「その音は泡の音」



 平沢逸「その音は泡の音」(『群像』2023年9月号所収)を読みました。
 恐らく、連続して読む気にならず何日か読むのを放棄したからだと思うのですが、過去にあった(登場人物がそれなりの人数の)大学のお笑いサークルの旅行の話を読まされるのは嫌だなあと途中まで何度となく思ったにもかかわらず、全9章に別れているうちの5章の辺りから俄然面白くなり驚きました。
 しかし、小説の終盤にあたる8章と9章における(これまでの章とは明らかに違う、ある意味陰惨な描写も含んだ)この小説の内容を根底から覆しかねない展開には驚きはしたものの納得できず、読み終えた後に消化不良な感じが残りました。
 登場人物や一日一日のイベント(1日に1つはあるドッキリ)等について中盤まで色々細かく書いておきながら、終盤であの(8章における主たる登場人物の一人である朝倉の悪夢のような光景を伴う独白、9章における過去が分からなくなってしまった人物(と言うか存在)の独白という)唐突な展開は、この小説にはちょっと相応しくないのではないでしょうか。
 ただ、個人的には何人かの登場人物のその後がチラリと書いてあるのが少し嬉しかったです…。