「我が手の太陽」

20年以上経験を積み、職場にいる溶接工の腕は確かだと自負する主人公の伊東が、彼自身の関わる仕事の現場で起きる出来事により、自身の現状が突きつけられていくという展開は読んでいて身につまされる思いがしました。
そして、彼の現状をはっきりと突きつけるのが、主人公の勤務先の中小企業のカワダ工業や、職場での先輩の牧野や同僚の村上等の実態のある登場人物でなく、何度か伊東の目の前に現れる検査員であるというのが、(最後の)伊東の溶接工の技術すら持っていってしまったかのような描写も含めて、個人的にはとても印象に残りました。
ああ、自分にもいつかはこの小説に書かれたような事態がやってくるのでしょうね…。
あと、建築や溶接等について、これだけの細かな内容を盛り込んであるこの小説がどのぐらいの時間で書き上げられたかを考えた時、目の前が一瞬暗くなりました。
