『遺失物管理所』

ジークフリート・レンツ『遺失物管理所』(松永美穂訳、新潮社)を読みました。
僕はこの本の作者についてまるで知らなかったのに、何故か近所の図書館に行くたびに前々からこの本が何故か気になっていました。
しかし、読みたい気持ちは抑えられず先日思い切って借りてきて読んだのですが、同僚思いで正義感の強い主人公のヘンリー・ネフが勤務するドイツ鉄道の遺失物管理所で起きる日々の出来事を中心にした物語は、職場の同僚であるパウラ・ブルームやベテランのアルベルト・ブスマン、所長のハネス・ハルムス、ヘンリーの姉のバーバラ・ネフだけだとそれなりに面白いで終わったでしょうが、サマラ出身の数学者フェードル・ラグーティン博士が物語に加わり多くの場面に登場し活躍したり傷ついたりする(最後あのような形でヘンリー達と分かれるとは正直意外でした…。)事で、面白さは俄然増したような気がしました。
あと、個人的には日本とドイツの遺失物管理所の違いなんてそれ程感じつつ読んでしまったのは若干損だったのかもしれないな、最終盤で主人公ヘンリー・ネフが出世のチャンスを蹴ったのは凄いなと思いました。
もっとも、その行為自体は彼の性格を考えたらさもありなんと思いますが…。