『白鶴亮翅』 | F9の雑記帳

『白鶴亮翅』


 多和田葉子『白鶴亮翅』(朝日新聞出版)を読みました。
 この小説には途中で隣人には同性のパートナーがいたりバリアフリーについて等と言った現代的な問題を描いた部分もありますが、夫と分かれて10年以上ドイツに住む主人公の女性と隣人、彼に付き添いを頼まれ向かった太極拳学校で出会った人々との交流の描写が多く描かれており、太極拳関連の内容も含めて全体的に親しみやすく、何だかジワジワと面白かったです。
 また、細かい事ですが、主人公が小説の中でクライストの小説「ロカルノの女乞食」を訳しており、終盤でその小説絡みの様な出来事に遭遇したりするというのは、多和田葉子が書いた小説だからなのかなと思いました。
 ただ、(個人的に感じるだけだと思いますが)多和田葉子の小説にありがちな“敷居が高い”的な雰囲気がなかったのは少し意外でした。
 もしかして、新聞での連載小説を単行本化したからなのでしょうか。
 あと、個人的には、主人公にだけ聞こえるCDプレイヤー等の家電製品の声が馬鹿馬鹿しく可笑しく好きになりました…。