『古い画の家』 | F9の雑記帳

『古い画の家』


 『小沼丹推理短篇集 古い画の家』(中公文庫)を読みました。
 少し前に某書店で「あ、小沼丹だ!」と思い購入したものの少し積ん読状態にしてしまい、申し訳ない事をしたなと思っていたのですが、意を決して(?)三日前ぐらいから読み始め、今日になって漸く読み終える事が出来ました。
 この本に収められた11篇の小説はどれも発表時期は古いのですが、その事を感じさせないぐらい(小説の中にあるユーモア等も含めて)面白く、(随分偉そうですが)読んでいて幾度となく「さすが、小沼丹だな」と思いました。
 ただ、巻末の三上延の解説によると1960年代に刊行予定だったのに刊行されなかったようです。
 もっとも、もし予定通り刊行されていたら、売れていたかどうかは微妙な気がしなくもないですが…。
 個人的には兄弟姉妹の関係が事件の鍵を握る「手紙の男」、宝石にまつわる「クレオパトラの涙」、主人公がまさかギャングの片棒を担ぐ羽目になるとは思わなかった「ミチザネ東京に行く」、お見合いについての話である「二人の男」、ある登場人物の大胆な行動に驚いた「赤と黒と白」、読んでいて主人公の王様を読んでいて好きになった「王様」、読み終えて唸ってしまった「リャン王の明察」が強く印象に残りました。
 あと、“推理短篇集”となっていますが、どの小説も探偵は登場しませんので、気をつけてください(?)。