『夏』 | F9の雑記帳

『夏』


 イーディス・ウォートン『夏』(山口ヨシ子/石井幸子訳、彩流社)を読みました。
 ニューイングランドを舞台として、周囲の人々が〈山〉と呼ぶ司法の及ばない地域から幼い頃に引き取られ、日々の生活や状況に対して「ああ、何もかもうんざり!」(6、9頁)と言ったりする主人公のチャリティ・ロイヤルが偶然出逢った建築家)ルーシャス・ハーニーに恋してしまうある夏の恋の物語は個人的にはそれなりに面白かったものの、個人的にはそれ以上でもそれ以下でもなかったです。
 ただ、終盤に仲が悪かった養父のロイヤル氏との関係が変化するのは読んでいてスッキリしました。
 もしかすると、巻末の『イーディス・ウォートンと脱出を夢見る異端者たちーー『夏』を中心に』に書かれているようは、主人公のチャリティ・ロイヤルが自立のために職業を探そうとしたり恋愛においては主体性を貫き、自分の行動に責任を持ち、時にルーシャス・ハーニーを小さいと感じる「新しい女性」(252頁)であるとまで考えて読んでいたら感想は変わったかもしれませんが。
 あと、近所の図書館の新着図書の棚で見つけ借りて読んだのだけといえばそれまでなのですが、僕はこの作家について知りませんでした…。