『キリンの首』 | F9の雑記帳

『キリンの首』


 ユーディット・シャランスキー『キリンの首』(細井直子訳、河出書房新社)を読みました。
 僕はこの本の著者について知識を持たないまま、図書館の新着図書の棚にあったので先日借りてきて読んだのですが、(四年後に廃校となる旧東ドイツ地域のあるギムナジウムが霧台となっている事も含めて)主人公の生物教師のイアン・ローマルクの周囲と自身に向ける情け容赦ない視線と態度の描写が読んでいて少し怖さを感じつつも面白かったです。
 ただ、居住している地域に対してや周囲の人々に対しては勿論、自分自身に対しても本当に文字通り情け容赦ない視線を向けた上で見合った態度を取るので、生徒から人気もあまりないのも納得できはしたものの読んでいて何度か不安になりました。「自分は安心して読んでいるけど本当に大丈夫かな…。」と。
 そして、個人的にはこの本の途中途中にある動物達の挿絵が精密で美しく、何分か眺めているうちに心が満たされる思いがしました。

 追記 読み終えた後で(作者の事が少し分かったので)、以前見つけた時は読めないなと思い敬遠してしまい読まなかった『失われたいくつかの物の目録』(河出書房新社)をいつか読んでみようかなと思いました。