『英雄たちの夢』

アドルフォ・ビオイ・カサーレス『英雄たちの夢』(大西亮訳、水声社)を読みました。
1927年のカーニバルの夜、人生の頂点と言うべき瞬間をかいま見る主人公エミリオ・ガウナが、三年後のカーニバルの夜にかつてのカーニバルの記憶を取り戻そうと行動する内容は勿論、驚きの展開もあり読んでいて面白かったです。
また、1927年のカーニバルと1930年のカーニバルが、主人公の意識の中で合わせ鏡の様に向かい合っている構造やブエノスアイレスの街の様子の描写等も興味深かったものの、一気に読まなかったせいだと思いますが、読み終えた後に(自分自身で)面白さの質を下げる読書をしてしまったかもしれないと感じました。
仮に、も読む速度をあげていたら、(比較的あっさりしていて、個人的にはガッカリした最後の場面も含めて)面白さが増し、印象がだいぶ変わった様に思われてなりません。
あと、個性的な登場人物は何人も出てきましたが、〈魔術師〉タボアダの娘であり、小説の途中で主人公エミリオ・ガウナの妻となるクララがとても可愛らしく書かれていて、読んでいる間何度となく主人公エミリオ・ガウナが羨ましくなりました。
それから、主人公エミリオ・ガウナとかつて同居していたラルセンも印象的な描写が多く、地味な人物ながら良いなと思いました。