「コンジュジ」

木崎みつ子「コンジュジ」(『すばる』2020年11月号所収)を読み終えた。
第44回すばる文学賞受賞作。父親から性的虐待を受ける主人公、(もう死んでいるのに)彼女が一目惚れしてしまったイギリスのバンド、ザ・カップスのトーマス・リアン・ノートン(リアン)やジム・ノートン(ジム)との妄想(リアンとの妄想は小説の途中まで父親からの行為に対する慰めのように甘い妄想だったのが、小説の後半になると辛辣になったりもし、最後には父になりかけたりとまさに現実と表裏一体だなとと感じた。理想を追い続けるのは難しい…。一方、ジムとの妄想は弟であるリアンについての会話が読んでいて胸に迫ってきた。彼女の一面が良く分かるな…。)、「五百八十六ページ」(43頁)あるリアン・ノートンの伝記本『リアン・ノートン』から分かるリアンの生涯、これらの描写を中心にして小説は進んでいくのだが、最後のリアンの墓の中に一緒に埋められると言う妄想の場面、そして一気に現実に戻される最終行の鮮やかさも含めて色々考えさせられた。他人を理解する事は本当に難しい…。
ただ、タイトルの意味(ポルトガル語で「配偶者」の意味(受賞者インタビュー(127頁))より)は知らなくても良いと思うし、知っていると少しガッカリすると感じた。