2020年1月15日
第162回芥川龍之介賞の受賞作が古川真人『背高泡立草(せいたかあわだちそう)』に決まった事をネットのニュースで知った。安定感ある選考結果と個人的には思う。ただ、(日本のある地方とは言え)閉じられた物語の世界の中で一部を切り取って小説にしていて、偶々その一部分の小説の出来が良くて芥川龍之介賞を受賞するのは些か許せない気がしなくもないが…。(ちなみに、直木三十五賞についてはそれ程興味はないので、思う所はない。)
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夜、杉本裕孝「神様以上」(『文學界』2020年2月号所収)を読む。出版社勤務の主人公と、かれの妻の妊娠と言う事柄を挟みつつ、骨髄移植のドナーとして決定したのコンビニエンスストアのオーナーである友人の男性を中心とした小説だが、骨髄移植のドナーについて細かく書かれているのもあるのだろう、(物語の終盤でも出てくる物ではあるが)箱庭に似た環境の中では、ある事柄がふとした切っ掛けで宗教じみてしまうのかもしれないなと思った。読み進めるにつれて、友人の描写が段々凄くなっていき、ある地点からガラッと変わってしまっていて、何だか怖くなってしまった。もっとも、最終盤の夢が現実を犯した様な描写が余計に効果を強めている気がするが。