前回の洋画篇では名曲をたっぷりご紹介いたしましたが、邦画となるとちょっと趣が変わります。
いきなりですが、邦画の場合 印象的な映画音楽というのはほとんどありません。
「エデンの東」「太陽がいっぱい」等に代表されるインストロメンタルな楽曲が、思い浮かびません。
邦画の印象的な音楽は歌であり、その多くは俳優によって歌われ、歌謡曲としても大ヒットしております。
中には歌謡曲としてヒットしたものを映画化するということも、当たり前のような時代がありました。
あと邦画では洋画と違い、ミュージカル映画は皆無?
同じ映画でも、洋画と邦画 こと音楽に関しては全く違うことがわかります。
邦画の映画音楽は、テーマソングか挿入歌ということになりそうですが、
古いところでは、黒澤明監督の「生きる」で、主人公が雪の降る中ブランコに乗り歌った「ゴンドラの歌」
青春映画のバイブルのような「青い山脈」
歌う映画俳優の走りは、多分高田浩吉ではないでしょうか?
続いて鶴田浩二(ハンカチを耳に当てて歌ってましたね)
皆が皆 歌っていたわけではなく、三船敏郎なんかはレコード出したことがない?(一度聴きたかったですけど・・・)
昭和30年代に入ると、大スターはほとんど歌ってましたね。その中でも東西の両横綱は、石原裕次郎と小林旭。
どんな男性歌手よりも、ヒット曲が多いんじゃなかろうか?この二人・・・
あとは 歌うだけでなく作って弾いてしまう(弾 厚作というペンネームはここから来てるらしい)加山雄三。
一世を風靡した植木等の無責任シリーズ。
あとは渡哲也・黒沢年男(この二人 初めのヒット曲までが長かった)
主題歌でいうと、勝新太郎・高倉健・渥美清(もう映画のタイトル言わなくてもわかる?)
女優では、高峰三枝子・高峰秀子、それから何と言っても吉永小百合。
一曲だけですが、内藤洋子「白馬のルンナ」
俳優だけあってセリフ入りの歌が多いが、このセリフがまたいいんです(笑)
中には歌よりセリフの方が長い曲も(浅丘ルリ子「愛の化石」)
十朱幸代・竹下恵子・桃井かおりも歌ってましたね(結構良かったです)
1960年代に入ると、歌手が映画の主役をやるようになりまして、
「絶唱」「夕笛」など文芸作品の舟木一夫
歌手だか役者だか わからなくなってしまった西郷輝彦
まあその昔は、江利チエミも美空ひばりも歌手と俳優の二刀流?
大スターだったのに、ヒット曲がなかった松原智恵子・酒井和歌子
個人的に聴いてみたかったのは、どうでしょう?
田村正和・・・
“アンタに言われたくない”ようなことばかりで失礼しました。
映画からテレビの時代になっても、この傾向は変わらず幾多のドラマと歌が誕生していったわけです。
冒頭に 邦画に印象に残る映画音楽はほとんどないと言ってしまいましたが、テレビドラマには、とてつもない傑作がありますね。
井上バンドの「太陽にほえろ」(その後「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」とショーケンのドラマの定番となります)
メロディといい雰囲気といい、日本のドラマ音楽史上の最高傑作だと私は思います
以上 ほとんどが、私の部屋に所蔵しておりますレコードからの、
昭和の香りいっぱいのレポートでした。
平成28年(昭和91年)春