古事記 須佐之男命を迎える天照大神と高天原の神々 | 子供と離れて暮らす親の心の悩みを軽くしたい

 

 

すると、須佐之男命が天に向かって駆け上がって来られます。
荒々しい足取りでです。

 

「きっと、須佐之男命は、お姉さまの住んでいる国を取ってしまおうと上って来られるんです」と神々は話しました。

 

天照大神(アマテラス大神)の髪を男の髪型に結い直しました。

髪の毛にも手にも”八尺の勾玉(ヤサカのマガタマ)”という玉飾りをつけました。

 

神様達は、須佐之男命(スサノオノミコト)が来るのを待ち構えていました。

そのようなことを知らない須佐之男命(スサノオノミコト)は、ただお姉さんに会えることを楽しみにしながら、上って来ました。

 

「お姉様、ご機嫌よう、やっとお会いできました」
「須佐之男命よ、なぜ、天に上って来たのですか?」

 

「僕は、泣いてばかりいました。お母様に会いたいと。そして、お父様にひどく叱られてしまいました。それで、お姉様に会いたいとたまらなくなってやって来たのです」と須佐之男命は答えました。

 

「みんな、心配そうな顔をしてますね。僕が悪い考えがないことを証明してみせます」と須佐之男命がいうと、

 

「わかりました。ではあなたの心が美しいということをみんなに見せてあげて」と天照大神(アマテラス大神)は言いました。

 

(参考図書:「親子で読める日本の神話」出雲井晶著)
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凄まじい音は、天上まで鳴り響きました。

 

「これはただ事ではない。地球という治めなければならない国があるのに、それが気に入らなくて高天原をほしいのかもしれない」
とお姉さんは思いました。

 

髪を男髪に結いあげ、両耳あたりに束ねた髪(御美豆羅)(ミミズラ)にも、髪飾りにも両手にも、”八尺の勾玉(マガタマ)の5百津(いほつ)の美須麻流(みすまる)の珠”を巻き付けられました。

 

この玉飾りは全てを丸く幸せにという愛のシンボルです。
これをたくさん巻きつけられたのは、慈愛の祈りを込められたのです。

 

背中には5百本の入る筒と千本の矢が入る筒をつけられました。
男装で応戦の構えを示して、神々も一斉に弓矢を放つ準備をして待ち構えていました。

 

これは、自分の国は自分で守らなければならないという、覚悟を示したのでした。

そのようなことを知らないで須佐之男命は、お姉様に会いたくて上って来られました。

 

須佐之男命は天上を奪おうなどというよこしまな心を持っていないことを伝えました。

そして「私にやましい心がない、その証に神の御霊(みたま)をいただいて、み子を産みましょう」と申しました。

 

(参考図書;「日本人なら知っておきたい日本神話」出雲井晶著)