在宅透析の妊娠について | 東京ネクスト内科・透析クリニック 院長ブログ

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私の所属する大学病院での年に数人透析患者様の妊娠を受けております。夫婦にとって子供はかけがえのない存在ですが、透析患者様の妊娠は非常に高リスクです。母体のみでなく胎児に対しても高リスクなのです(新生児の生存率42%との報告もあります。Registry of pregnancy in dialysis patients. Am J Kidney Dis 31: 766–773, 1998)。実際、ほとんどの患者様は20週前後で入院生活が始まります。胎児管理のみでなく、母体の貧血や栄養管理が非常に困難だからです。またほとんどが30週前後の出産となります。出生時の体重も平均より少ないのがほとんどです。 一般的に透析患者様の妊娠は少なく、個人差もあるので正確なデータや統計は施設ごとで数例の発表が見られる程度で、はっきりしたことはわかっておりません。 




 在宅透析患者様方の妊娠の報告が非常に素晴らしい内容だったので、紹介させて頂きます。(Successful Pregnancies on Nocturnal Home Hemodialysis(Clin J Am Soc Nephrol 3: 392-396, 2008))以下の5人に患者は全員が在宅透析患者様で夜間8時間を週3回から週6回の行われておりました。以下がその結果ですが、当院では見られない結果に驚きました。多くが満期に近い出産で、新生児体重もほぼ健常者と変わらないのです。透析患者様には大変いい報告だと思います。




患者No  出産週数  出生時体重   APGAR Scores


Patient 1: 36 週     2020          9/9

Patient 2: 38 週      3000          5/8

Patient 2: 37 週     2785          9/9

Patient 3 36 週      2690          6/9

Patient 4 38 週     2750          8/9

Patient 5 30 週      1260          5/7




 当院でも最近主人が非常に熱心な技師で、自分の妻に週6回4時間透析を施設で行い、当院で引き続き妊娠管理を入院で行っておりましたが、非常にデータが良かったんです。貧血の管理や尿毒素のデータ、胎児の発育も今までにない結果でした。しかし残念なことに、前置胎盤のため、31週での突然の出産となりましたが、母体、胎児ともに元気です。いままで当院では週4回4時間がほとんどでしたが、週6回に増やすことで、全身管理も変わりました。今後、この患者様は子供との時間を大事にしたいため、長生きしたいため、強く在宅透析を希望しており、母体、新生児が安定したのちに在宅透析の導入を始めようと思っております。


 透析回数は妊娠時には月14回の制限が解除されるので是非とも透析回数、時間を増やして見て下さい。透析患者様の妊娠のリスクを十分に下げられる可能性があり、透析患者様方でも安心して妊娠が出来るようになればいいと思っております。