silly talkですってよ。 -4ページ目

silly talkですってよ。

妄想の産物っす。

妄想っす。

もう一度言いますが、妄想の産物っす。

当たり前だけど日本酒は米から作られます。2








「…参った…マジで…」
松本くんの握る手とは逆の手を。
額に当てて。

顔を隠す。


「え、え? どうしました?」
松本くんの声が焦っていて。

ちょっと笑える。

「何か変なこと言いました?」
「…いや…」

変なことなんて言ってない。

寧ろ…。

俺は。


ガッツリ掴まれて…。

…骨抜き…だ。


こんな事になるなんて。
こんな事が起きるなんて…。

誰が想像出来る?


諦めた人生の先に。
こんな。


心をガッツリ掴まれる出逢いが…。
あるなんて…。


誰が想像できようか…っ。


長い溜め息にも似た息を吐いて。

「…潤…」

初めて名前を呼んで。
松本くんの手を握り返した。

過剰な程…。

松本くんの身体が揺れる。

それでも…。
その手を…。


離したく…ない。


「そう呼べる…関係に…なりませんか?」

らしくない。
マジで俺らしくない…。

そんな言葉。

こんな風に口説いた事なんてない。


顔隠して。
恥ずかしさを堪えて。

なんて。

無様過ぎて笑える。


しかも。
「…キスもして…手まで繋いで…? 今更なんだけど…ね」

ふっと…。
松本くんの緊張が緩むのが分かる。

「今更…ですね…」

そう少し笑いを含んだ声。

「その言葉を貰えなかったら…どんな酷い奴なんだろう…って、思いますよ?」
松本くんが言って。

その手を握り返された。

「櫻井さんが…そんな酷い奴じゃなくて…良かった…です」
「そ…ですか…」

なんて言うか…。

松本くんの返答は。
俺の想像を遥かに超えてて。

驚く程…。
沁みる。

その上。
ふんわりとした雰囲気とか。


なんとも…。

言えず…。


俺の気持ちを…。

暖かく包み込む。


「じゃぁ…俺は…」
「?」
顔を隠した指の隙間から。
覗いた…松本くんは。
「しょ…」
何故か少し頬を赤らめて。

「翔…くん…?」

は…?

「うん、翔くん…っいいかもっ」

なんだか嬉しそうで。
恥ずかしそうなのに…。

嬉しそうで…。


そんな風に呼ばれるのは。
ガキの頃以来だ…なんて事は言えず。

「翔くん…ふふ…」
「…」

ほんのり染めた頬で。
柔らかく笑って…。



なんでしょうね…。

この人は。


たった一言。
たった一つの行動で。

俺の暗く荒んだ気持ちも。
心も。

軽く。
明るく。


まるで花が咲いた様に…。

色を持たせる。


「やべぇな…」
「え?」
思わず漏れた言葉に。
松本くんがコチラを振り向くから。
「あ、いえ、独り言」
笑って応えるけど。
「…そう…ですか…」
納得はいかない様子で。


その姿すら…。

可愛いと思ってる俺は。



―どハマりしそうですよ…?―


なんて…思ったりして。

言わねぇけど。