飲み過ぎは、ダメです。1
…。
なんか…。
なんつぅか…。
面白くねぇ。
つぅか…。
いや、面白くねぇ…。
夕方…。
結構早い時間から、ポツリポツリと…。
知り合いが開店祝いに駆けつけて来てた。
何処で知ったのか…。
結構な人数。
七時を過ぎた頃はピークで。
『おめでとう、まさかお店開くなんてねー』
とか。
『脱サラかよー』
とか。
好き勝手言って。
花やら…。
なんかの入った紙袋やら。
大量に渡された。
そんなに知らない奴は。
一杯だけ飲んで。
『また来るね』
なんて、言って去ってく。
居座ってるヤツもいるし…。
それなりに盛況で。
雅紀が昼間のうちに用意してあったツマミは無くなって。
途中、雅紀がツマミを追加してくれたが。
「俺も飲んじゃおー」
と、呑気にそのまま飲み始めた。
そしたらそこに。
「花は届きました?」
済ました顔の二宮が。
お向かいの松本くんと現れて。
「松本くーん、こっちこっちっ」
何故か雅紀に呼ばれて。
「少しだけ…お邪魔します」
…。
ほら…。
あのふんわり笑顔で。
素早く雅紀の元へと向かって行く。
は?
は?
なんで雅紀っ!?
はっ!?
なんでっ!?
「なに、その顔」
「はぁ!?」
その声に振り向けば。
すまし顔の二宮がいて。
「久しぶりに会った後輩より? お向かいの花屋さんが気になります?」
「…」
「久しぶりなんですけど?」
「さっき会っただろうが」
「は?」
久しぶりの再会は、さっき済ませた。
はずだ。
「あれは会った…って言いませんっ」
「会っただわっ」
二宮は小さく笑うと…。
「変わってないですね…」
そう呟いた。
変わって…ない…か…。
そりゃ…。
二年やそこらで、人間の本質みたいのが変わるとも思わない。
別に…。
変わりたくて…。
会社を辞めた訳じゃない。
むしろ…。
変えたかったのは…。
俺を取り巻く環境…だ。
「少し…良いですか?」
珍しく少しだけ気を遣ったみたいな二宮の気配に。
それは多分。
二宮が本音でそう思ってるから…で。
ここまで来て。
ここへ来て…。
俺も逃げるのはどうかと思い。
「どーぞ」
そう…視線を落とした。