silly talkですってよ。 -15ページ目

silly talkですってよ。

妄想の産物っす。

妄想っす。

もう一度言いますが、妄想の産物っす。

ガーベラみたいにポジティブに。1








「気になる?」
相葉さんの隣で少し飲んだ。

あんまり飲む気になれなくて。
本当に、一口二口程度。

その間も…。
視線は…。

櫻井さんと…。
カズ…に向いてて。

店の奥。

カウンターの端で。
二人が親密そうに話す姿から…。

目が離せなくて…。


「気になっちゃうよね?」
ビールらしき、オシャレな小瓶を飲んでる相葉さんに笑われた。
「…別に…」
そう答えてはみたものの…。

気になってるのは見え見えで。

「あの子…松本くんの知り合い?」
「あ、えっと…高校の時からの同級生…です」
「へー」
相葉さんは小さく笑ってから…。

「オレ、結構タイプかも」
「はっ?」
スルッと出てきた相葉さんの言葉に。
相葉さんを凝視した。
「くふふっ…そんなに驚く?」
「え、いや…」
「恋愛は自由でしょ?」

そう…だけど。

「それに…まつ…もう潤くんでいっか?」
「え」
「潤くんだって、翔ちゃんに一目惚れでしょ?」
「っ」
「恋は理屈じゃないし? 自由、じゆーっ」

自由過ぎ…だよ。

とは、思っても言えない。

「子犬みたいな顔して、中身子猫? みたいな?」
「え?」
「あの子」
相葉さんの視線の先には。
櫻井さんとカズがいて。

子犬は…カズだと…。
予測は出来る。

「後で連絡先聞こー」
「…自由すぎません?」
思わず声に出て。
「くふふっ」
また笑われた。
「だってさ、タイプなんだもん…仕方ないよね? 止められないんだよーオレ」
酔ってるんだろうか…。
やたらとテンションが高い。
「え、だって、潤くん」

潤くん…決定なんだ。

「止められる?」
「…」
「そんな視線であの二人見てて…止められるわけ、ないよね?」
「…」

どんな視線…してる…?

俺…。

「子犬くんが羨ましいって視線」

声に出してないはずなのに。
相葉さんに指摘される。

「…」


羨ましい…。

そう思った。

カズは二年前まで櫻井さんの後輩で。
確実に俺より櫻井さんを知ってて…。
櫻井さんの近くにいた。

きっと一緒に食事した事もあるだろうし…。
飲む事だってあった。

もしかしたら…。

カノジョ…って言う存在の事も知ってたかもしれない…。





『それは…YESであり、NOです』

カズはさっきそう言った。

『人としてはYESで、恋愛感情として…は、NOね』

とも。

『あんな完璧な男に恋愛感情抱くと疲れてヤダよ。俺はもっと…なんか抜けてる男がこのみですよ?』
そんな風に笑って。
『別に恋愛は自由だから、相手に性別は求めないし?』
って…。
カズらしく…。
俺の気持ちまで汲み取って。
『だからね…潤くんは』

柔らかく笑って。

『俺に気兼ねなく、櫻井さんに惚れて下さいね』

そう言った。




「大丈夫だよ?」
「えっ」
不意にかけられた言葉に。
意識を今に戻す。
「翔ちゃんって、誰にでもいい顔するけど、浮気者じゃないから」
「はい?」

ダレニデモイイカオ?

でも。

ウワキモノジャナイ?

「はい?」
「結構一途なんじゃないかなぁ?」
「あの…それって…褒めてます?」
「えっ、褒め言葉でしょ?」
キョトンとした顔で相葉さんは言うから。
どうやら本当に悪気はないらしく。
「あはは…相葉さんって、面白いですね…」
「あ、笑った…良かったー」

え…。

「ずーっと…こーんな顔?」
相葉さんが眉間に皺を寄せ。
「してたからさ? ちょっと心配だったけど」

え…。

それ、俺?

「笑ってくれて安心…っ」
ニコニコと相葉さんが笑うから。
つられて笑う。

そんな事にも気を使う人なんだ…と。
改めて実感して。

なんだか不思議と暖かい気持ちになった。

「いやっ…安心じゃないかも…っ」
急に焦った声の相葉さんを見ると。
その視線は…。
俺じゃなくて。
「うわぁ…ヤバい…」
相葉さんの笑顔が引きつってる。
「ちょー怖い」
相葉さんの視線の先…。

それは…。

こちらを見てる櫻井さんと。
その櫻井さんの肩を叩くカズの姿で。

そのカズの姿に…。

ちょっと。
ちょっとだけ。

イラッとした。