silly talkですってよ。 -14ページ目

silly talkですってよ。

妄想の産物っす。

妄想っす。

もう一度言いますが、妄想の産物っす。

カクテルは意外に酔いが回ります。1








「ちょっと…視線怖すぎっ」
「あ?」
「そんなんじゃ、潤くん吃驚します」
そう言って肩を叩かれる。
「あら、相変わらずの撫で具合」
「ほっとけっ…」
変わらない二宮のからかいを雑にあしらって。
イライラする感情も吐き出した。


ベタベタしやがって…。

しかもなんか笑ってんじゃん…。

気に入らねぇ…。

そんな風に思う自分の感情に苛立ちながらも、困惑する。
「そんな風に感情丸出しの人でした?」
「は?」
新しい煙草に火を点けて、紫煙を吐き出す。
「もっと上手に隠してた…と、思うんですけど?」
「上手に…ってなんだ?」
「そのまんまの意味ですけど?」
せがまれて出した瓶ビールを飲みながら。
二宮も煙草を取り出す。
それを横目で見ながら。

また視線を…向けると。

雅紀が肩を竦めて。
困った顔して笑ってるやがる。


覚えてろよ…?


そんな思いを込めて、目を伏せた。

「潤くん…ね」
「…ぁ?」
「貴重な俺のオトモダチ」
「だろうな…おまえの友達とか有り得ねぇし」
「なんです? 有り得ねぇって…」
「そのまんま?」
口角を片方だけ引き上げると。
二宮は煙と一緒に溜め息を吐いた。
「自分で貴重って言ってんだろ?」
「まぁ…」
置いてあった飲みかけの瓶に口を付けた。

これは、俺専用。

「潤くんって…優しくて、ホワンとしてて…」

それは…分かる。

「俺の自慢のオトモダチなんです」
「そりゃすげぇ…」
「だからね…」
煙草を一吸いして。
ビールを一口飲んで。
二宮がこちらを見た。
「アナタが相手なら…不足はないんですよねー」
「は?」

それはどう言う意味だ。

「俺が唯一尊敬する人は…仕事も出来て、部下の面倒見もいい…それに…」

二宮は一度視線を落としてから、ゆっくりと遠くを見つめる。

それはまるで。

昔の記憶を辿るように。

「間違った事を間違ったと言える…」
「…」
「ま、言っただけじゃなかった…ですけどね?」
「ばーか…思い出させんじゃねぇよ…」

苦い記憶…だ。


握りしめた拳が痛むのは…。
気の所為…か。

それとも…。

昼間の火傷の傷か…。

「やっぱり…あれが原因なんです?」
少しトーン落ちた声。
「あれが…」
「二宮…」
言葉を遮るつもりで名前を呼んだ。
「あの時、櫻井さんは確実に…」
「黙れ」
低く掠れた声が出て。
やっと二宮が言葉を止めた。
止めた言葉の代わりに…。

聞こえる…。

溜め息。

「…あの子は…元気にしてますか…?」


あの子…。



「…」

短くなった煙草を灰皿で揉み消して。
「忘れろ…」
呟いて。
「二度と口にするな」
二宮を睨んで…。
見下ろす。
「さく…っ」

「こらーそこの子犬っ、翔ちゃんに噛み付くなーっ」

ぴりっとした重い雰囲気をぶち破る声は…。