silly talkですってよ。 -13ページ目

silly talkですってよ。

妄想の産物っす。

妄想っす。

もう一度言いますが、妄想の産物っす。

カクテルは意外に酔いが回ります。2








「噛みつき禁止ーーーっ」
雅紀が。
「どーーーーんっ」
効果音付きで俺と二宮の間に突っ込んできた。
「相葉さんっ」
雅紀の後ろで、松本くんが慌ててる。
「翔ちゃんに噛み付くの、ダメーーーっ」
俺を背中に隠すように、雅紀が二宮の前に立った。

匿われる柄でもないんだが…。

「えっと…」
困惑する二宮が。
「噛み付いてるつもりはありませんが?」
自分を取り戻して雅紀を睨む。
「いーや、噛み付いてるねっガブガブだねっ」
「相葉さん落ち着いて」
「何この人、誰?」
俺に問いかけてるのか。
それとも松本くんか…。
「相葉さん…」
「潤くんには聞いてません」

あ…俺か…。

「俺の知り合い」
「しりあい? 知り合いじゃないでしょっ、親友でしょ?」
向きを変えて、今度は雅紀が俺に詰め寄る。
「ハイハイ…親友ですね」
「そう言う言い方気に入らないっ」
「あーそーですかー」
「なにそのボー読みっ」
「すみませんねぇ」
矛先がこちらを向いて部が悪く。

また煙草に手を伸ばして。
引き抜いた一本を口に咥えると…。

「吸いすぎですよ…」

柔らかい言葉と共に。

「…」

煙草を引き抜かれた。

「ずっと吸ってますよね?」
視線を上げた先に。
少し不機嫌そうな表情を浮かべた松本くんがいて。
「百害なんですから、せめて本数を減らして下さい」
花を器用に扱う指で。
素早く煙草を箱に戻した。


「わーぉ…スマート」
雅紀が呟くと。
ハッと我に返って。
「あ、すみませんっ、余計な事っ」
不機嫌そうな表情を一変して。
慌てた表情に変わる。
「すみません」
今度は困った表情で謝るから…。
「いや、いいよ…」
こっちも笑うしかなくて…。

雅紀も二宮も驚いた様に、俺を。
いや、松本くんを見詰めている。

「オレ…翔ちゃんの煙草…止められる人…初めて見たかも…」
「俺もです」
いがみ合っていた二人が驚くのは…。

そう言う事で。

俺も驚いてる。

「えっ…」
勿論、一番驚いてるのは…。
松本くん本人だと思うけど…?

「翔ちゃん、誰になんと言われても、煙草…やめないからね」
「うるせぇ…で、片づけられましたから…」

良くご存知で?

誰かに指図されるのは好きじゃない。
ほぼ、精神安定剤に近い煙草を止められるのは。
正直、イラつきを覚えるだけ。


「あーそう…」
雅紀は何かに気付いて。
「…おじゃま…かなっ」
ニコニコと何時もの笑顔を浮かべた。

はいはい…。
よくお分かりで?

と視線を伏せる。

「えーっと、カズ、くん?」
突然二宮の名前を呼ぶ。
「は?」
勿論二宮は怪訝そうに眉を寄せ。
「オレね、君、タイプっ」
「は?」
二宮が少し後ろに下がる。
そんな事お構い無しに、雅紀が二宮の腕を掴んだ。
「は、離せっ」
「ちょっとさ? 親交を深めない?」
「は? なに? ばかっ?」
「えーそれって、初対面の人に言う事?」
雅紀特有の笑顔を浮かべて。
「潤くんっ、誰これ!?」
「オレね、相葉さんっ」
「あんたに聞いてないっ」

珍しく二宮が動揺してる。

おもしれぇ…。

「ま、それはこれから知ればいっか?」
勝手に納得して。
勝手に決めて。
「あっち行こ?」
腕を引く。
「は? ばか? 何言って…引っ張んなやっ」
「カズっ」
松本くんが手を出そうとしたのを。
「櫻井さん?」
止めて。
「ちょっとっ、力加減っ」
「潤くん、翔ちゃんお願いねー」
二宮が雅紀に引き摺られるのを見送った。

「あの…櫻井さん?」
「いいんじゃね?」
「え…」
飲みかけの瓶を手に取った。
「二宮もガキじゃねぇし…」
「そぅ…ですけど…」
一口飲んで喉を潤す。

そっと視線を松本くんに送って。

「俺は松本くんと話したいし…?」

笑ってやる。

「…」
「いつから…雅紀と…」

ちょっと柄にも無いことを言いそうな自分に戸惑いながら…。

「あんなに、仲良くなった…の、かな…?」

つい口にしてしまう…。

「…」
「俺を差し置いて?」
「…っ」


言葉を無くしてる松本くんは。
少し…。

小さく見えた。