<実相寺昭雄監督作品 映画雑記>
帝都物語
1988年公開! 最近、頭がダラーーっとしてきたので!?(笑)、ここらで、強烈に刺激を与えて覚醒させようと思い?(笑)、選んだ映画が、これ!!
実相寺昭雄監督作品! 監督の名前で選びました!!
だって、あの「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の話の中で、すごい変わってるなああ、面白いなあああ、うまいなああって、いつも思わせてくれたのが、実相寺監督の話! 皆さんも記憶にあるかと思います。 自分は、子供時代から、大注目ですよ!! 子供向け怪獣番組なのに、手抜きなしの大人の鑑賞にも耐えうる、かなりレベルの高い演出!! うますぎです!!
他の子供向け番組で、これほどスゴイ演出する人は、いなかったと思います! それほど、突出してました!!
そういう斬新な演出に、今飢えていた私は、頭を活気づかせてくれる映画を探すときに、真っ先に実相寺監督を思いだし、この監督なら、絶対期待に応えてくれる! 見る価値ある!っと思って、昔録ってあったWOWOW放送版で、今回、初鑑賞したしだい!!!
この選択は大正解!!
いやああ、見て良かったです! 予想通り、大満足です! 感性磨かれちゃいました!! やっぱ、演出、うまいですねえええ。どのシーンもアートで、キラーショット満載で、完全に魅了されました! 素晴らしいです!!
カットが変わるたんびに、惚れ惚れします!!
カメラワークもいいし、演出、※編集も良し! 見事です!!
特撮もレベルが高くて、ビックリしました!
(※編集は、巨匠浦岡敬一!!)
これほど監督の演出力が、目に見えて、明確にわかり、それが、最高の効果をだしている映画というのは、なかなかないと思うので、改めて感心!!
映画の内容で、独特の個性を発揮する監督は、けっこういると思いますが、どんな内容でも、自分流の斬新な演出力で見せきる監督というのは、そうそういないと思うので、ほんと、見てて、やっぱ、映画って、演出力が重要だなああって思いましたねええ。
おそらく、この作品、別の職人監督が撮ってたら、どうしようもない凡作になっていたと思います!!??
いやあああ、今後、他の実相寺昭雄監督作品を見るのが、楽しみになってきました!
恥ずかしながら、ほとんど見てないんで!!(笑)
何本も見た暁には、自分の感性が、今まで以上に磨かれることは間違いないので、もう、ワクワクドキドキですよ!!(笑)
乱歩地獄
2005年公開! 江戸川乱歩の気色悪い話を原作に、4話のオムニバス映画にした作品。各話監督が違い、2話目の「鏡地獄」が巨匠実相寺昭雄監督!
レンタルDVDで初鑑賞!
うーーーん、これ、構成がダメだなああ。全話、実験映画っぽくて、他の3話も、実相寺監督の演出のタッチに近い!(笑) 他の監督たちは、巨匠に敬意を払ったのか?、意図的に、特徴のある演出をマネしたのか!? ・・・よって、観客は、ずううううと同じような映像を見せられるわけで、映画としては、どうなの!?って感じ。 飽きちゃうんですよ!!(笑)
おまけに、マネしたとはいえ、演出レベルが違いすぎるんで、何ともいいようがない・・・。(笑)
なんか自主映画監督が、35ミリのフィルムで、短編映画を撮ったら、こうなりましたって、感じ。(笑) つまらなくはないし、眠くもならないんだけど、
とにかく自主映画に近い・・・。一般客には、受けないでしょう。
・・・で、期待の実相寺監督の話は、まさにこれ、怪奇大作戦の江戸川乱歩版!(笑) 広角レンズ多用、鏡多用で、不可思議なムード満載!
実相寺監督が、全部監督すれば良かったのでは?(笑)
それと、せめて、実相寺監督の話は、最後に持ってきたほうが良かったなああ。
見ていくうちに、見応えが増していく構成をとったほうが良かった・・・。
現状、見るたんびに、演出のレベルが低下していくんで、ウンザリ。(笑)
(注)1話目もひどいです。いいのは、実相寺監督の2話目だけ!
あと、どうも納得がいかないのは、明智小五郎、小林少年、怪人二十面相が出てくるのに、まったく活躍しないことと、全話に浅野忠信が出てくるのに、2話目と3話目は、明智小五郎役なのに、4話目が、なぜか違うんですよ! 誰もが4話目も、明智役として、見てしまうんで、・・・え?、なに?、違うの!? 明智じゃあないんだ?? おかしいじゃん!!・・って、強烈な違和感を感じましたねえええ。
作り手は、意図していなかったとしても、結果的に観客をミスリードしてるんで、映画として、失格なんじゃあないでしょうか!!(笑)
曼陀羅
1971年公開! 最近集中して見ている実相寺昭雄監督作品!
レンタルDVDで初鑑賞!
見てて、改めて気づいたんですが(笑)、そーいえば、この時代にこういう映画多かったなああってこと。(笑)
芸術かポルノか?、際どいスレスレの性描写を駆使、娯楽性をある程度無視し?単純な話を?実験映画的手法で、わざと訳わからなくして、重苦しい時代の空気、閉塞感を、観念的に描くっていうやつ。いわゆるアングラ。怪しい雰囲気。
鬱の映画・・・・・。(笑)
観客も、こういう映画を好んで見に行ってたのか? 単に、製作側が作りたかっただけなのか? 見てる間も見終わった後も、客にとっては、気分のいいものではないので、落ち込んでる人が見たら、余計落ち込んでしまいます!!(笑)
そんなこの映画、一言でいうなら、怪奇大作戦のポルノ版!?(笑)
実相寺監督ならではの演出炸裂で、興味深く見れましたが、果たして、この演出で良かったのかどうか?と、自分は、ちょっと疑問でしたねえ。
この脚本だったら、横移動の多い落ち着きのないカメラワーク、早い編集は、不要だったのではないかと・・・・・。 キビキビしすぎで、見てて忙しい・・・。
そう、この内容は、大島渚とか今村昌平が、監督したほうが、合っていたんではないかと途中から思ってしまいました。あまり、実験的な演出をしなくて、正攻法で見せてくれたほうが、かえって効果的で、見る側の感情に入り込むことができたのではなかったかと・・・・。
実相寺演出だと、この内容に必要だった、情感が欠落してしまっていたように思い、それが残念。
うーーーん、映画って、むずかしいなああ。脚本と演出の不一致か・・・。
音楽は、冬木透。「ウルトラセブン」の人なので、すごく期待したんですが、これはどうしたことか、この映画では、実験映画っぽい音楽に終始してしまって、まるで、いつもの良さが発揮されてなかったように思います!
編集は、浦岡敬一。大島渚、今村昌平監督とも組んでいる編集界の巨匠中の巨匠。
ここでも、単なるカットのつなぎだけではなく、巨匠ならではの黒味、フラッシュバック、大胆なジャンプカットを駆使、編集の存在感を見せつけてくれています!!
・・・・が、とにかく映画として、面白くなく、ちょっと期待外れ!
注目は、ウルトラマンのヒロイン、桜井浩子の出演! でも、役に入り込みすぎてるせいなのか?、メイクのせいなのか?、まったくフジ・アキコ隊員の面影がなく、別人のようだったので、うーーーーんって感じ!(笑)
姑獲鳥の夏
2005年公開! 実相寺昭雄監督作品!
分厚い原作は、当時から知ってたけど、読んだことないし、その映画化も知ってたけど、見てもいなかった!(笑)
実相寺監督の作品ということも知ってたけど、いろいろと忙しく見逃がしてきたもの。(笑)
ついに、WOWOW放送版で、初鑑賞!
推理物なんで、期待したけど・・・、これは・・・・。(笑)
ちょっと、変わってるんでビックリですよ!
明智小五郎とか金田一耕助は、事件をちゃんと見せて、ちゃんと捜査して、ちゃんと解決してくれるじゃあないですか! これって、推理物の定番、お約束事項ですよね!?(笑) でも、こっちは、なぜか事件をちゃんと見せないで?(笑)、ちゃんと捜査しないで?(笑)、いきなり事件を解決するんです!?(笑)
えええっって感じ!(笑) 要は、超能力探偵なんですよ!?
なんか、複雑で訳わかんない展開の跡で、すぐに、事件の謎が解明されてゆく・・・。
この唐突感! いったいどうやって、調べたんだあーーー???(笑) 話を聴いただけで、頭の中ですべて謎を解いたのかあああーー!?
お前、超能力者!? 推理物では、ルール違反だろーー!!って!(笑)
途中の捜査をする展開をカットしたんじゃあないのか?という疑問さえ出てくる、不可思議さなんですよ!(笑)
原作もこうなのかなあああ。???
実相寺監督の演出も、いつもの感じなんで、訳わかんない展開をさらに訳わかんなくしてましたねええ・・・・。
うーーん、他の監督だったら、どう処理していたか、逆にそっちのほうを見たくなってしまいました!!(笑) 内容もダメだけど、演出も合ってない!
もし「地獄」「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」などの石井輝男監督とか「女囚さそりシリーズ」「犬神の悪霊」などの伊藤俊也監督版だったら、どうだったのかと、ついつい妄想してしまいましたけど・・・。
きっと、そっちのほうが、訳わかんなくても、まだ面白かったかも?
分厚い原作を短くまとめた脚本に無理があったのと?、特徴のある実相寺演出が、この作品では、裏目に出てしまった感じですねええ。
「影武者」「復讐するは我になり」の池辺晋一郎の音楽も、これまた実験映画的で、不協和音炸裂! ・・・ちょっと、違うんだなああ・・・。(笑)
無常
1970年公開! 実相寺昭雄監督作品!
このところ続けて見た「乱歩地獄」「曼陀羅」「姑獲鳥の夏」が、予想に反して、つまらなく、期待外れだったので、実相寺監督の演出手法も、合う作品と合わない作品があるんだなああ・・・(笑)、なかなか映画って、うまくいかないもんだなああ・・・と、複雑な気持ち。・・・・演出はいいのに、脚本が悪く、斬新すぎる演出と内容が合ってないため、余計つまらなさが倍増するハメに・・・・。
かえって、逆効果になってる! また、そういう作品ほど、音楽も悪い!(笑)
せっかく感性を磨こうとしたのに、この3本で、また、元に戻ってしまったようで、頭が、固くなってしまいました!(笑)気分は、ブルーです。(笑)
次、どうしようかなああと迷いに迷ったんですが、長編映画デビュー作で、海外の映画祭でグランプリを受賞しているこの作品・・・・、見とくべきか・・・と。もしこれがダメだったら、一旦、実相寺作品を見るのをやめよう!と決心し、・・・・不安ながらも、再生開始!
レンタルDVDで初鑑賞です!!(笑)
・・・・・・。
ヤッホー!!(笑)やったーーー!!(笑)
いいです、いいです、これ、最高にいいです!!(笑)
素晴らしいです!! 現時点での、実相寺監督のベスト1作品です!!
演出手法が、脚本内容とバッチリ合致! 見てて惚れ惚れ!!
一歩間違えば、近親相姦を描くポルノ映画なんですが、構図最高、カメラワーク最高、編集、音響効果、音楽効果も最高、演技最高と、何から何まで奇跡的な素晴らしさで、アートの領域に達しちゃってるんで、お見事というしかないです! 絶賛します!!
なにしろ、開巻スグから、この映画の異様な魅力に、脳が反応、感性を刺激しはじめたんですから!! あれ?、もしかしたら、この映画、いいかもって!(笑)
で、そのまま最後まで、刺激しまくりです!! 固くなってた脳が、元に戻っちゃいました!!
1970年に、こんな傑作な日本映画があったとは!! ビックリです!!
本日、自分の日本映画のベスト作品の中に、この「無常」を新しく加えます!!(笑) くそおおお、今まで、見逃していたなんて!!(笑)
この先、まだまだ見てない、傑作があるんじゃあないかと、ほんとワクワクしてきましたよ!!(笑) うれしいなあああ。
再び、気分が盛り上がってきました!!
このまま、実相寺監督作品、しばらく見続けます!!(笑)
音楽は、「ウルトラセブン」の冬木徹。これまたセブンのときと同様、素晴らしい効果! 音の使い方が非常にうまい!! 耳からも、うなりまくりです!!
尚、この作品の編集は、いつもの浦岡敬一ではありません。
(編集は、ウルトラマンの編集を担当していた柳川義博)
哥(うた)
1972年公開! 実相寺昭雄監督作品!
傑作「無常」(1970/モノクロ・スタンダードサイズ)、微妙な「曼陀羅」(1971/カラー・ビスタサイズ)、そして、この「哥(うた)」(モノクロ/シネスコサイズ)は、・・・・観念3部作といわれてるらしく・・・・、いよいよ今宵、その3作目の完結編を初鑑賞。レンタルDVDで!
うーーん、「無常」がすごすぎたんで、正直、こっちは、イマイチ。
演出と脚本は合致していて、悪くはないんだけど、最初のうち、この映画は、いったい何を描こうとしたのか、さっぱりわからず、興味が湧いてこず、展開もスローペースすぎて、なかなか、話に入り込んでいけないところが、マイナスか。
ようやくわかってきて、軌道にのるのが、だいぶ後になってからなので、それまで、かなり我慢を強いられることに・・・。「無常」のわかりやすさとは、正反対。
それと、3人の主役のうちの1人が、役柄上、異常に堅物すぎて、見ててイライラするのも、マイナスか。(笑) 大真面目な堅物なんで、見てて面白くないんですよ! もっと笑わせてくれる堅物だったら、OKだったのに!(笑)
そういうことを考えると、内容がわかってきてから思ったのは、この映画、なんか実相寺監督ではなく、今村昌平監督が、脚本を大幅に書き直して、作っていたら、かなり面白いものになったんじゃあないかという、妄想をしてしまいました・・・。(笑)・・・たぶん、間違いなく・・・・。
いやあああ、ほんと映画って、むずかしい・・・。
完成してからじゃあないと、マイナス点が見えてこないんだろうなあああ。
編集は、「曼陀羅」に続いての巨匠浦岡敬一。ここでも、黒味、フラッシュバック、ジャンプカットを駆使・・・、それに加えてドキっとするような強烈な<間>のカットが、いくつかあり、うなりまくりました!! この<間>のカットは、なかなか見たことがなく、見慣れないものなんで、ちょっと衝撃を受けました!!
ゾクゾクします!!(笑)
音楽は、「無常」「曼陀羅」の冬木徹。
ヴィヴァルディの四季の名曲を、随所に使ってるんだけど、ちょっと、合ってないんじゃあないかな? 少なくとも、私の感性は、拒否反応を起こしました。(笑)
さてさて、観念の3部作、見終わりましたが、順位をつけると、ベスト1は、「無常」で、2と3がなくて、4「曼陀羅」、5「哥(うた)」といったところでしょうか!
ただし、
「曼陀羅」は、大島渚監督が、「哥(うた)」は、今村昌平監督が作っていたら、傑作になっていたと思います!!!
注目ポイントは、ネットで書かれていた、この映画のストーリー。なぜか、ラストの展開が違っているんですよ! もしかするとオリジナル脚本はそうなってたのに、映画は変えてしまったのか?? オリジナルは、けっこう派手な幕切れで、完成版では、荘厳で静かに終わっていきます! オリジナルだと、今までのムードをぶち壊しかねないんで、変えたのかな?
あと予告編を見ると、本編で使ってないシーンが、いっぱいあって、こっちのシーンも使ったほうがよかったんじゃあないかと思いましたねええ。(笑)
予告編のほうが、キラーカットばっかりなんですよ!(笑)
あと、ここでも、ウルトラマンのヒロイン桜井浩子が出てるんですが、フジ・アキコ隊員とは、またまた別人!に見えるので(笑)、うーーーんって感じ。(笑)
D坂の殺人事件
1998年公開! 実相寺昭雄監督作品!
レンタルされてなかったんで、DVDを購入! 初鑑賞!
江戸川乱歩の原作だけど、タイトルの「D坂の殺人事件」は読んだことなし。
自分、乱歩ものといえば、少年向けに書き直されたポプラ社から出ている少年探偵団シリーズ全46巻を、中学生のときに読破!してるくらいで、意外にも大人向けの猟奇色の濃いオリジナルは、ほとんど読んでいない。記憶にあるのは、「暗黒星」くらいか・・・。(笑)←おそらく少年向けを制覇してしまったんで、これ以上、望まなかったんでしょう・・・?(笑)
よって、この映画、予備知識まったくなしの状態で見始めたわけですが、な、な、な、な、なんと!(笑)、自分が読んでいた、「心理試験」の話が、主軸になっていたので、ちょっとオドロキましたねええ。・・・ただし、自分は、少年向けに書き直されたほうしか読んでないという注釈つきですが・・・。(笑)
推測すると、「D坂・・・」の要素は、ちょっとしかなく?、乱歩の変態性を全面的に押し出し、「心理試験」の推理劇をクライマックスに持ってきた感じか・・・。 うーーーん、自分としては、このまとめかたで良かったのかなあと疑問に思いました。
というのは、「心理試験」の話って、どう考えても小説向きで、映像化には向いてないんですよ。 大方の人は、そう思ってるはず。 なのに、「心理試験」を謎解きのメインにしちゃってるんで、当然、面白さなんかでるわけがない! 火を見るより明らか!(笑)
案の定、前半に見せられる、派手な変態的な映像の数々は、後半、まったく生かされず、あれはいったい何だったのかああ?、まやかしかああ!?と思うほどで、途中から、いきなり「心理試験」の話に移行するんで、この突然の失速感は半端なし!! 尻つぼみ!! 後半の展開は、別物? どうして、こんな話にしてしまったのか?(笑) さらに悪いことに、実相寺演出と「心理試験」の話は、水と油の関係で、うまくいってない!! やれやれです・・・。
推理映画の醍醐味って、名探偵がクライマックスに、事件のトリックを長々と解説し、その、再現映像を見せてこそ、味わえるもの!
これこそ、最高にカタルシスを感じ、満足できる・・・・。
その観客の見たいもの望んでいるものを、製作陣が、わかっていれば、絶対、「心理試験」の話は、選ばないはずなのに!!(笑) 不思議不思議。 誰も、このことに気づかなかったのか??
見終わって、がっかりの期待外れ作になってました! 残念!!
笑えたのは、明智小五郎の助手、小林少年!! すごい美少年として登場するんです!!(笑)(三輪ひとみが演じてます!)
これほど、圧倒的な美少年にするんだったら、もっと、小林少年を活躍させたり、怪人二十面相を出して、エンタメに徹して欲しかったなあああ。(笑) 絶対にこれより面白くなったはず!!(笑) バランスが非常に悪い!
今回、編集は、浦岡敬一ではないのですが、編集の仕方がけっこう似てるんで、敬意を表して、意図的にやったんじゃあないかな?
あさき夢みし
1974年公開! 実相寺昭雄監督作品! レンタルDVDで初鑑賞!
オープニングの映像は見事だったんで、かなり期待できそうな予感がしたんだけど・・・、結局は、それまでで(笑)・・・、意外にノレずに、退屈。
退屈な一番の要因は、映像・・・・。
実相寺監督らしい凝った映像が、ここでは、ちょっと裏目に出たように思う。 表向きは、華やかに見える宮廷生活とその裏側の陰鬱さ(笑)、ヒロインの内に秘めた葛藤と成長、そして顛末が描かれていくわけだけど、どの映像も、鮮やかではなく、暗い! 影が強調され、逆光での撮影も多い。 テーマ的に重苦しい雰囲気があるので、当然の選択だろうけど、せっかくの女性たちの素晴らしい衣装と美しい顔がまったく際立たず、興ざめ! きれいに見えないんだよなああ。(笑)
黒澤明監督の「影武者」とか「乱」とかの衣装の鮮やかさを知っている人たちにとっては、自分含めてゲンナリ・・・。
ここは、前半は、見惚れるほどの鮮やかな映像を! 後半にいくに従って、光と影を強調していったほうが良かったと思う。
まあ、もともと実相寺監督の作品って、内容も暗いし(笑)、映像も暗いんですが(笑)、せっかくのカラー映画なのに、ほんとはきれいな衣装をそこまで、暗く、汚れた感じ?に見せなくても良かったんじゃあないかと・・・。
今回は、映像の見事さで、圧倒されることが、まったくなかった!!
これだったら、モノクロにしたほうが良かったかも・・・??
ただ、この暗い映像の良さが出てくるのは、後半になってから。
後半部分は、内容と映像が合致して、けっこう、魅せられました。ラストも実にいい。 後々になってジワジワくる良さなんです。
トータル的に考えると、もし映像が見事だったとしても、なんか物足りなさが残る印象あり。
・・・そう、広い絵がないことかな。 貴族たちの、住んでる屋敷の全景が全く出てこないんです!!(笑) いつも、部屋の中だけ・・・・。(笑)
予算の問題だと思うけど、本来、ベルナルド・ベルドルッチ監督の「ラスト・エンペラー」並みのスケールで映画化すべき話を、縮小して作ってるんで、無理もない・・・。惜しいなあああ。
世界の映画祭を驚愕させる、すごい傑作になった可能性はあったと思う。
編集は、またまた浦岡敬一。 ここでは、派手なフラッシュバックが、何度もあって、しつこすぎて、ウンザリ。(笑) おまけにサブリミナルカットもあるんで、やりすぎの感あり。(笑)
今回の編集は、・・・ちょっとダメですね。(笑)
注目は、哥(うた)のとき、衝撃的だった、ドキっとするような強烈な<間>のカットがここでもあったこと! うなりまくりました! ここだけは、必見!
この、不自然とも思える<間>のカットは、他の映画では、見たことがなく、見慣れないものなんで、浦岡敬一独特のものなのかな!?
ユメ十夜
2007年公開! 夏目漱石原作の10話のオムニバス映画。
レンタルDVDで、初鑑賞!
なんか、DVDのパッケージデザインは、見ただけで、つまらなそうな雰囲気満点だったので?(笑)、あまり期待はせず、覚悟を決めて、ダメもとで見始めました!(笑)
それが意外や意外! 予想外に面白かったです!!
10話それぞれの監督が違っていたこと、ベテランだけでなく、若くて才能ある監督たちの参加が、功を奏したみたいで、演出手法がバラエティに富み、同じようなタッチがまったくなく、最初から終わりまで、奇跡的に!(笑)、飽きることなく&中だるみすることなく、見ることができました!
見るきっかけは、もちろん、1話目の監督が、実相寺昭雄だから!(笑)
他、恐怖映画の傑作「呪怨」の清水崇が3話目を、大人計画の松尾スズキが1話目に出演、6話目を監督していたことは、自分知らなかったんで、クレジット見てオドロキ、なんか得した気分!(笑) あと、アニメの話もあったり、特撮が見事な話もあったりと、見ススメていくたびに、新鮮!斬新!の連続で、意外な拾い物作品になってます!
数あるオムニバス映画の中でも、傑出しているのではないかと・・・?(笑)
少なくとも、先日見た江戸川乱歩原作の4話のオムニバス「乱歩地獄」の10倍は面白い!(笑)
それにしても、自分が思っていた夏目漱石のイメージとだいぶ違っていたんで、ちょっとビックリしました! どの話も、怪談に近い!(笑) 怖い!
漱石版、世にも奇妙な物語って感じ。
高尚で、超真面目な文学的イメージがあったんで、この意外な面は?大いなる収穫!(笑)
漱石の作品読んだのって、かれこれ中学生のときだったか・・・?(笑)
読んだ記憶あるのは、「坊っちゃん」くらいか?(笑)
興味があったんで、その夏目漱石原作の「夢十夜」を読んでみました・・・、
あれれれ・・・、映画は、だいぶアレンジされてますねええ。(笑)
これでは、夏目漱石原作というのは、ちょっと間違ってるような感じ。
夏目漱石の「夢十夜」にインスパイアされた11人(7話目は2人の共同監督のため)の監督たちによる競作怪談夜話集というのが、正しいと思う。
屋根裏の散歩者
1992年公開! 何度も映画化されてる江戸川乱歩原作作品!
まずは、実相寺昭雄監督版から!!! DVDで初鑑賞!!
同じ実相寺監督の「D坂の殺人事件」(1998)と対を成してるといっていいほど、雰囲気そっくり! 明智小五郎役も同じ。 シリーズ化しても良かったんじゃあないかな?(笑)
原作は読んでないけど、なんとなく内容は知ってる。 で、映画版は、ぜんぜん「D坂・・・」より面白く、明智の謎解きも、メインとなった「心理試験」より、数倍楽しめるものとなってました! 犯人に罠を仕掛けるのは、「心理・・」と同じなんですが、こっちのやり方のほうが、理にかなってるというのか、鮮やかで、スリルがあります!! これですよ、これ!! これこそ、明智推理の醍醐味ですよ!!(笑) 時間が、なぜか77分と短いため、クセのある登場人物たちの描き込みが不足していて、映画的には、未完成品っぽいんだけど、今まで見たこともないような生々しいハードな描写が連続するんで、そんなマイナス点なんか、吹き飛んじゃいました!!(笑) いやああ、見事です!! ビックリ!アッパレ!脱帽です!!(笑) このハード描写の演出、完全にパーフェクトだなあ!! 文句なし!! 言うことなしの百点満点!!(笑) これほど強烈な、息を飲むようなリアルさが伝わってくる演出って、今まで見たことなし!!(笑)
生ツバ ごっくんもの!!??(笑)
普通の監督が撮っていたら、ここまで、伝わってきませんよ!! やっぱ、実相寺監督となると、ぜんぜんレベルが違う!!?? 素晴らしい!!?? 巨匠ならでは!!??(笑)
これに、明智推理の直球勝負が、加わってくるもんだから、もうたまんない!!
大満足ですよ!!(笑)
きっと、これを超える「屋根裏の散歩者」はないんじゃあないかな??
他の監督作品を、はやく見て、比べてみようっと!(笑)
ちなみに、劇場公開版は、74分だったらしく、このDVDは、77分のインターナショナルバージョン(完全版)で、成人指定となってます!
実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン
1979年公開! ウルトラブーム真っ只の中、TVで放送された実相寺昭雄監督の話を再編集した、劇場版ウルトラマン第2弾! ひどすぎた前作とは違い?(笑)、新撮もあり、それぞれの話がうまくつながるようなナレーションも加わって、展開はスムーズ、再編集版ならではの違和感も少なく、1本の映画としての完成度は、かなり高くなってます!! 音楽も一部、差し替えられており、いい感じに、盛り上げてくれます。 まあ、もともとの実相寺演出の完成度が高いってのもあるけど、総編集の浦岡敬一!の力も大きいと思う。
改めて見て、ビックリするくらい実相寺演出のうまさを確認、堪能!!
構図、カメラワーク、編集、音響効果、音楽の使い方、カットの組み立て方が神業に近く、これが、子供向けっていうんだから、贅沢すぎる!!(笑)
見せられた子供は、そのときは、わからなくても、すごく感性の勉強になったと思う。
ちなみに、このウルトラマンの時代設定・・・どうやら1993年らしい。
それとわかるカットあり。