本屋から伸びる長い影と少年の陰
ある晴れた日の、ある晴れた街に、その少年は生まれた。
名を『蒼』と両親は名づけた。
樹木が水分を吸って、ぐんぐん空に向かって成長するように
彼はぐんぐん、ぐんぐん、成長していった。
母は言った、蒼、もっと食べなさい
『うん』
蒼は大好きだった、母の料理がなんでも。
父も、負けじと、蒼、車に乗って旅に出ようか
『うん』
蒼は大好きだった、父の車の助手席が。
外からみれば、変哲もない、いや、とても幸せそうに見える
家族であったが、本当は、そうでもなく 。
お互いがお互いを監視していたのであった・・。
それは、蒼の誕生まで遡るのであり、
蒼もそれを感覚として捕えていた。
だから、蒼はぐんぐん成長していったのだ、
周りの悪意から身を守るために。