★空き教室で、天使が描いたモンスター | *あいのひろ~心のドアをノックして 

*あいのひろ~心のドアをノックして 

青山学院女子短期大学英文科卒。伊藤忠商事入社。東京都公立小中学校でメンタルサポート4年間従事しカウンセラー養成学園を設立。千人以上のカウンセラー輩出。武蔵野大学通信教育部人間科学科・人間科学心理学に入学し心理学士号取得。著書3冊。行政依頼講演も手掛ける。

昨日の台風はすごかったですね!

今日は台風一過、気温も高くなりそうですね^^




こんな汗をかく時期になると、思い出す男の子がいます。

それは、3年前の夏、

私が勤務していた小学校でおこった出来事です。




「ここは多摩動物園じゃないんだからー」


「うおーーうわーーーー」






え??誰の叫び声?

と思っていると、

職員室の外の廊下から、女の先生が、2年生の男の子を羽交い絞めにして連れてきました。




「クラスで大声をあげてどうしようもないので、連れてきました。

とにかくこの子を落ち着かせてください。おねがいします」

そういうと、先生は大汗をかきながら、自分の授業中のクラスへ戻っていきました。




季節は、7月・・・・・^^;


とりあえず、

汗と涙でびしょびしょになって興奮しているその子を自分の膝の上に座らせました。





「大丈夫だから。もう大丈夫だよ」

パニックが収まるまで、背中をゆっくりとさすりました。




パニックを起こした子と接する時、

一つだけ気をつけていることがあります。



それは、「一緒に興奮したり、いらいらしたり、しないこと。」

ええ、これをやってしまって何度失敗したことか・・・・(涙)



昨日の台風と一緒で、悪い気分やパニックは一時的なもの。

こういうときは、だまってにこにこして過ぎ去るのを待つのが一番です^^


しばらくの間、その子の背中をゆっくりさすっていると、

呼吸も少しずつ落ち着いてきました。


するとその子は目の前にあったミスプリントの紙をクルクルっと丸めて、

後ろの黒板にポイっと投げました。




「お!面白そう!」と、

私も一緒にぐしゃぐしゃの紙をポイポイと投げていると

その子の表情が少しずつ穏やかになってきました。




大人も子どももパニックを起こしているときは、本当に別人のように顔つきが変わります。

顔つきで、その子の心の状態が手に取るようにわかります。




やがて少し落ち着いたのか、顔のこわばりもなくなり、笑顔も見せるようになったので

「絵でも描く?」

といってペンを渡すと、

さらさらさら~っと、

足は一体だけど、天使と悪魔の2つの顔がある怪獣の絵を書きました。




「僕の中にはね、

天使と悪魔がいるの。

いらいらしちゃうと、悪魔になるんだ。

さっきまで、悪魔になってたんだ。

でも、自分でもどうしていいかわかんない。止められないんだ」




そうつぶやきました。

言い終わる頃にはその子の瞳は、穏やかで透明な瞳に戻りました。

ああ、この子のいう、「天使の自分」に戻ったんだな、と思いました。





その子はたびたび、クラスの中で、大声をあげたり、

他の子に手を上げたりしていました。

そのたびに担任の先生は頭を抱えていました。




パニックが起こると、

私とその子は、風が通るいつも涼しい空き教室で

いつものように一緒にクールダウンの時間を過ごしました。




絵を描くのが大好きなその子の自由帳には、

たくさんのモンスターの絵があって、

「このモンスターはね、ハートから血を流しているの。」

と一つ一つを説明してくれました。

まるで心が映し出されているかのようだなと、感心しながら見せてもらっていました。




そんな山あり谷ありの日々をいく日も一緒に過ごし、

その子が4年生になったころ、

あのすごかったパニックも少なくなってきました。


担任の先生も上手にその子の対応が出来ていて、

私が授業中にその子の様子を見に行っても、

静かに授業を受けていられるようになりました。




いい子にしているなあと思って、

その子の机のそばにいくと、

ニコッと笑って、グーマークを出してくれます。



「ぼく、落ち着いたでしょ?」

そう言いたげな顔をして^^



彼の中で、天使と悪魔は、徐々に統合され、

まとまっていったのだと思いました。




彼の数年間を見てきて、

ガラスのような繊細な心は、

大声を出したりパニックを起こすことで、

自分を守っていたんだろうなと思いました。



もう自分を守らなくてもいい。

そう思えたとき、きっと、

もともと持っていたその綺麗な澄んだ瞳に戻ったんだろうと思います。




ある本に書いてありました。

あるお医者さんが、医者のコツをこっそりこう教えてくれたそうです。



「すべての病気は、90%は自然に治るので、

患者を励ましながら待つことです」




カウンセラーも同じなのかもしれないなと思います。

もともと人間は、自然治癒力を持っていて、

時間が悩みを解決することが多いし、

子どもの場合、その子が成長することで自然と問題が解決することがとても多いです。




「励ましながら、じっと待つこと」

これがもしかしたら、カウンセラーという仕事なのかもしれないなと

その子から私は、教えてもらいました。




悩みの時期はきっと、いつか過ぎ去る。

そしてその悩みは、その子と、そして周りの大人をも、

成長させてくれるのかもしれないですね。



今日みたいな高い青い空を見ると、

あの夏から秋にかけた、あの子と空き教室で過ごした時間を思い出します。




今も、晴れ渡る青空のような心で、

あの澄んだ瞳でいてくれたらなあと、

ふとそんなことを思いました^^




今日の名言


おはよう、と言えたら

  すばらしい。



こんにちは、と言えたら、

  カッコイイ。


いただきます、と言えたら、

  絶好調!



ありがとう、と言えたら、


  天才だよ。



 がばいばあちゃん



今日も数あるブログの中から、私のブログに遊びに来てくださり

どうもありがとうございます。


素敵な一日を☆


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