クイーン60年記念の船を眺めに行ったものの、そこはまるで隅田川花火大会。
計画も狙いもなく、ひょっこり訪ねた人間は、”この道は出口ONLY””あっちにダイバートしろ”だなんだの指図によって、気づけばどんどん川から遠ざかり、やっと近づけたかと思えば、見えるのは人の頭ばかり。。。気づかないようにしていればいずれは上がるとタカをくくっていた小雨は、気づいた頃には久々の土砂降りで、、、といってセントポールからウエストミンスターあたりのバスは路線変更していたりしてバスにも乗れず、、、ひどい雨に人々が退散したエンバンクメント辺りで大スクリーンを拝めたものの、その後もただ歩くしかなく、、、
雨にも負け、風にも負け、、、自宅のTVはアナログ式で映らず、、、、、せめて気分だけでも一発逆転を、と
ずぶぬれのまま暖簾をくぐるは、ICAギャラリー。
ただいま、邦画ヒミズを£10-にて上映中。
冷えた体を温める為に寄ったICAカフェで、つい懐かしいETON MESS(イチゴとメレンゲとクリームとアイスのてんこ盛り)を頼んでしまいますます内側から冷えたところで入場するは45席の小劇場。上映ぎりぎりまで他の客が入ってこなかったので、もしや1人かと心配していたものの、10名ほどの客でスタート。
ヒミズ。
漫画版が有名らしいですが、僕は漫画を読まないので全く知りません。
監督が「冷たい熱帯魚」で有名らしいですが、観ていないので何ともいえません。
でも、ロンドンで観る邦画(「告白」以降、邦画も結構注目しています)という特殊条件に惹かれて、いざヒミズ、英語字幕付。
ってか、冒頭から、暴力シーンの連発。
大人が中学生に暴力を振るうシーンって、こっちの国の人にどう映るんだろう。
日本では、レジャー先でお母さんが疲れとイライラを子供にぶつけているのをよく見かけるけれど、こっちの国ではそういう方向の暴力を見かけたことが、、、無い。でも、映画に出てくる暴力は、確かに目を被いたくなる種類のものだけれど、同じ日本人としては、なんとなく分かってしまう、ところも、ある。
なんだかいろんな種類の暴力が詰め込まれていたけれど、これって他の文化の人々にはどう映るのか知らん。そんな観客として余計とも思われることを平行して思いつつ、最後まで飽きずに観切りました。
きっと、いろんなことが、練りこまれているんだろうと想像し、後でいろんな人のレビューを見てみたら、ほんとに感心するほど、みなさん深読みされていて、圧倒されました。ははん、そういう風にも、言われてみれば、そうだなぁ。ははん。
確かに、教師の「頑張れ」の気持ち悪さ(でも今の日本に浸透しつつある系)と、最後の彼女の「頑張れ」の絶対的な違い、とか言われてみれば、もっともで、そう思うと、余韻もますます鮮烈になっていくわけで。
でも、浅読みしていた僕はもっと違うところにグッときてしまっていました。
結局、男子みんな何かにしがらんでいました。狙わずとも結局しがらみの中に自らますますしがらんでいくことが、存在を実感するかのように。そんななか、主人公の女子中学生(宮崎あおいかと思ってました)と、宿無し生活に付き合っているシュミーズみたいのを着ている女性は、しがらみから、自力で解放されていこうとしているかのようでした。相対的な評価を求めず、つきぬけているサマは、映画という非日常の舞台で、ますます見る側にカタルシスというか、救済感というか、な感覚をくれました。
たぶん、映画がもっといいたいことは、男の間のしがらんでいるところだと思うのですが。
それにしても、大した作品です。観た直後は、どっと疲れました。暖をとるつもりが、余計な何かをしょってしまったかのようでもありました。でも、時間が経つほどに、しがらんでいる主人公の彼にも、しがらんでいない彼女にも、共感の感情がじわじわと沸いてくるような、意外な自分内の変化が、、心地よい。
最後が、小奇麗かなとも思わせつつ、実は原作は違うらしい、というのもなんだか魅力的に輝きます。
個人的には、映画「告白」の鮮烈感の方が好みですが、されど、ヒミズもなんだか自分の中にずっと引っかかって、さらに変化をしているようです。
外国の小予算映画って、なにかと貧しさとか、貧しさの中の美しさとか、懐かしさとかを突付いてくる系が目立つ気がするのですが、国として貧しいところにはそれなりの苦労があるのは察するけれど、日本にもこういう難しさがあるということを堂々と描いているところが好感でした。
ま、自分の浅読みっぷりを体感できたのも、いい経験でした。