結構まめに日本人によるロンドン公演はチェックしている”つもり”なのですが、全然気付かなかった、野田秀樹氏による”THE BEE”@SOHO THEATRE を観てきました。
といっても、野田氏の舞台は全くの未経験。そして、今まで特別な興味を持ったことがあるわけでもなく、正直、少し迷いました。でも、野田氏の作品を初めて観られる&野田氏も出演する=野田氏の演技が観られるせっかくの機会ということで、その舞台の存在を知った翌日の今日、観てきました。
夕方直接SOHOにある(SOHOにありそうなイメージどおりの)劇場にて当日券を購入(全席£20-)すると、チケットに座席番号が無い。発券のおねいさんに尋ねると、「小劇場だから自由なの」という返事。はて、小劇場、、、ますます未体験&想像の出来ない不安感みたいなのも募ります。なんとなく、小劇場の演劇って、”分かる人には分かる”みたいな敷居の高さみたいのがあるし、、、
19:30開演で、19:10頃劇場に着くと、ちらほらTHE BEE目当てと思われるお客が並んでいました。小劇場、結構空いていたら観る側としてのシキタリ(?)とかも知らない(ってそんなものがあるかどうかも知りませんが)自分大丈夫なんだろうか、、、なんていうのは杞憂で、いざ会場に入ってみたら、150人位ほぼ満席でした。
ふ~む確かに小さい劇場と言えば小さいかも。でも、目の前の20畳位の真っ赤な舞台はインパクト大だし、壁面はガラス張り(これがまた良くできていて、実際舞台が始まると半透明になったりする)で20畳が40畳に見えたりする。なんだか、大昔観たつかこうへい舞台を連想させる、(聴いたことのあるようで聴いたことの無い)昔の歌謡曲みたいな開演前のBGMには、怯んだものの、いざ舞台が始まると、、、
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冒頭から一気に全身を舞台に引っ張られるかのように魅了されまくりました。
す、凄い掴みっぷり、、、僕凄い掴まれっぷり、、、
変な例えで恐縮ですが、五輪のような巨大大会のシンクロナイズドスイミングとか、演技の冒頭にまず(4年間温めたかのような)凄い大技とか入れてきます。それを観た時のような衝撃感。
冒頭、ゴムを使ってあれやこれややるのですが、これが、日本の匠の技とも唸らせるかのようにまぁ良く出来ている上に、かなりテンポがイイ。アイデアも天才的圧倒感があると同時にそれを具現化してしまう役者さん達にも熟したこなれ感があって、シビレマス。
そして、本筋。先週の舞台では日本語字幕があったようなのですが、今回は英語オンリー。3人の英国人俳優に交じって野田氏も英語で展開させていきます。全体に漂う独特なテンポ感も奏功して、野田氏も英語的違和感無く舞台のエンジンの一つとしてどんどん加速していく。主役のKATHRYN HUNTERがまた味があって安定感があって素晴らしい。
う~む、野田氏の演技は初めて観たのですが、白石加代子的モンスター度とは世界が違って、なんていうか、”監督が若手女優にここはこうやって演技するんだよと分かり易く見せているかのような”俯瞰した演技でした。でも、それもまた良かったです。日本版(では宮沢りえ)とは違う役を演るというのも良かったかも。
4人の俳優の役柄がどんどん変わっていったり、紙の筒がいきなり子供に想定されたり、あれやらこれやらが緻密にかつテンポよく展開していくのですが、観る方に全くストレスなく、全編英語でもかなりついていけました。
あぁなって、こうなって、そうなって、またまたあぁなって、、、で、どうやって落ちをつけるんだってところまで、十分テンションの山がもりもり盛り上がる高揚感。
あ、そうくるか、という落ちではありましたが、気づけば余韻はかなりカタルシス。我ながら、なんでカタルシスっぽさを感じてしまうのか、いまいち説明がつけられないし、NY公演後には観客は自らに照らし合わせてどんよりしたらしいということも小耳に挟むと、僕だけちょっとズレているのかもしれません。野田氏が言っているように、911の後にインスパイアされて作られた作品だとすると、カタルシス方面には行かない気がするのですが、それでも、なんだか個人的には溜飲が下がってしまったんだから仕方ないです。
あぁそうだよなぁ、そうだよねぇ。。。
Evening standard(夕方配られる無料新聞)批評にもあるように”How easily, The Bee reminds us chillingly, we accept a new status quo, even if the idea of it outraged us yesterday.”(あれほど憤慨していたものでもその後普通のこととして受け入れてしまう)の部分、そして、舞台では、ある種の狂気が展開しているのに、その狂気にも日常の(寝て起きて食べてまた寝てといった)反復作業が平然と同時展開していて、そしてその日常の反復作業に狂気が組み込まれていく様が、なんだか僕にはとても腑に落ちてしまいました。
と、舞台素人ながら言いたい放題なわけですが、なにより野田氏イイじゃないですか!ウエスタン俳優3人の中に絡まって、自分の舞台を具現化し、そして観客の95%以上が英国人(たいていの日本人公演には、着物な日本人観客がかなり沸いてきます)の小劇場で、拍手喝采受けているなんてかなり素晴らしい。その心意気みたいなものが、ビシビシ伝わってくるのが多いに滋養になりました。
80分1本勝負、熱烈にオススメしたいです。


