エヴァの匂い | 椅子車じゃおかしいですか?

エヴァの匂い

「エヴァの匂い」(EVA 1962仏)



$椅子車じゃおかしいですか?


兄の遺稿を自分の作品であると偽り、作家デビューを果たしたタイヴィアン。新作が一向に書けない彼は、ある日エヴァという魅惑的な女性と出会い、虜になってしまった…。男を狂わせる魔性の女エヴァをJ・モローが熱演する、フィルム・ノワールの傑作(キネマ旬報社)


ベニス・サンマルコ広場を横目に運河観光の船、曇る窓を手でふき取るしぐさから紳士の顔に触れる女、わずかに向く男への表情「淑女」と目線を前にする表情は「悪女」そのもの。大きく窪んだ目は「なにか」だけが取り持つ希薄な関係の男と女。


社交界では「知られた」存在のエヴァ、男に投げる「色目」に釣られて言い寄る男たち。
「いくら持ってるの?」大金をつぎ込み、破滅の道をたどる男たち。



$椅子車じゃおかしいですか?




なんども言い寄っては軽くあしらわれるタイヴィアン、「世の中で一番好きなものはなんだい?」と問いかけに「お金よ!」と即答するエヴァ。成り上がりのタイヴィアンには「住む世界が違うのよ」とでも語るように遠ざけるエヴァ、一時はエヴァを忘れ美しい恋人フランチェスコの元に戻るが、その「匂い」に誘われるように再びエヴァの後を追いかけ、それが災いし大事なものを失ってしまう。



$椅子車じゃおかしいですか?




酒と賭博に溺れるタイヴィアン、サンマルコ広場でこれから常時のたびに出ようとする男とエヴァの前に現れ戻ったらあってくれと懇願するが素っ気ないエヴァ、言いたいこと済ませ立ち去るタイヴィアンに言い放つ、「みじめな男!」と。



ジャンヌ・モローの「エヴァ」と、ミシェル・ルグランの軽快なJAZZ、時折流れるビリー・ホリデイの「Willow Weep For Me」、モノクロの映像と影を感じさせる主人公二人を鏡を使って効果的に映す、かなりの傑作映画! かっこいいです!


邦題の「エヴァの匂い」、まさに前編にわたって香り放つジャンヌ演じる「エヴァ」のファムファタール=「悪女」っぷり。「死刑台のエレベーター」や「恋人たち」とは別人のような妖艶さで30代の円熟味増したジャンヌはが圧巻です。


監督は「唇からナイフ」「暗殺者のメロディ」のジョセフ・ロージー。
後の作品「パリの灯は遠く」でも仕事をしている。ロージーはルイ・マル作品のジャンヌを観てぜひ仕事をしたいとオファーしたとのこと。のちこの映画を観て感激したトリュフォーは愛娘を「エヴァ」と命名したのだとか。

悪女の匂いを強烈なまでに醸し出すエヴァは何年経っても色あせることのない映画です。