2014 その3
「!!」
すぐさま反応した私は光のスピードで部屋を飛び出し玄関を出た。
「ドーーーン!パラパラパラ…」
私は、ただみとれた。
間隔も疎らで、数も少なかったけど
肌を刺すように冷たい、ピンと張り詰めた空気の夜空に打ち上げられた花火は、思わず息をするのも忘れるほど綺麗だった。
一瞬にして孤独な気持ちがどこかに飛んでいった。
幸せだ。幸せって一瞬だ。
花火と一緒だ。
幸せな気持ちは、幸せだった瞬間の記憶だ。
だから、幸せは一瞬だ。
寒さに耐えられず、途中で切り上げて家に入った。
茶の間に行くと母が
「花火どうだった?健はついさっき初詣行ったよ。アタシは寒いから行かないけどね。」
と話しかけてきたので「やっぱり冬の花火は違うわ!」と若干興奮気味に応えた。
さっきまでの変な意地はすっかり無くなり
「寿司、食べていーい?」と皿に寿司を山盛り乗せた。
寿司、鬼盛り。
我ながら現金だ。
プライドは無いのか。
うん、無い。
山盛りの寿司皿を持って部屋に戻り、ぱいかじ南海作戦の続きを観た。
最後泣いた。
最後の最後で泣かされた。
阿部サダヲだからってゲラッゲラ笑ってたけど。
油断してた。
またエンディングの星野源にやられた。
相乗効果。大人計画の相乗効果。
昔沖縄に一人旅した時に、ホテル着くなり大泣きして、過呼吸になりかけて怖くなって友人に電話したら「バカじゃないの」って笑われたことあったけど。
今思うと、仕事も辞めた後だったし それまで溜まってたものが、一気に溢れ出したのかなぁって。
浄化っていうかね。
南の島には、そういった不思議な力があるような気がする。
ぱいかじ南海作戦もそんな感じ。
観るだけで浄化されてくような感じがする。
画面から南国の風吹いてくるわけじゃないんだけど。
しかも観るごとに面白くなっていく。
1回より2回、2回より3回、と。
2014 その2
自分が寿司食べてる間に「なにこの人、実は食べたかったんじゃん!『温かいご飯が』とか何?その下手な芝居(笑)恥ずかしいよね、凄く恥ずかしいよね、こっちまで恥ずかしくなるよ。うわー食べてる、モリモリ食べてる」とか思われるなんて、屈辱以外の何物でもないじゃない。
寒い台所で足踏みしながら電子レンジを睨み、チンが終わると 取り出したご飯を茶碗に開け、もはや怒りと悲しみが八割を占めた頭で「おかず」を一生懸命考え、冷蔵庫にあったシャウエッセンを2本茹で、ご飯の上に盛った。
2013年の年越しフード
白米
シャウエッセン2本
泣ける。 我ながら泣ける。
この日の夕食は、死ぬ前に思い出す「私の夕飯メモリアルベスト3」に入るはず。
まさか茶の間でそれは食べれないので「借りてきたDVDあるからー」と一言言って部屋へ直行した。
台所から部屋に移動する間、ずっと「それでいいのか?お前本当にそれでいいのか!?」というセリフがずっと頭の中で連呼し続けた。
部屋に入ると、ぱいかじ南海作戦を観て泣きながら食べた。
時計を見たら23時45分
あぁ、もしかしたらこれは私史上最悪の年越しかもしれない。
昨日まであんなに温かで幸せな気持ちであったというのに…
何なんだこの急激な落差は。
私はこうやって一生ひとりで生きていくんだわ。もしかしたら、この先ずっとひとりで年を越すのかもしれない。誰とも「明けましておめでとう!」を言わず、ただひっそりと除夜の鐘を聞くんだわ。そして味のしない蕎麦をすするんだわ。
待てよ…
もしかしたら数年後にはブルーシートのテントの下で寒さに凍えながら年を越すのかもしれない…
蕎麦すら食べれないかもしれないうわーーーー!(泣)
(落ちたらとことんネガティブ)
私の顔面に死相すら見え始めたその時
「ドーーーン!パラパラパラ…」
花火が上がった。
時計を見た
0時丁度。
年明けの花火だった。
2014
年が明けた。
初夢は見…たような見ないような。
昨夜は、23時頃に仕事から帰って
茶の間に直行したら、弟が帰って来てて
「あらお帰り」と言おうとしてテーブルを見たら、唐揚げ、サラダ、寿司(ファミリーパック)があって
そこまではいいんだけど、寿司が3つしかなくて。真ん中にポンポンポンて、3つ。
奥さん3握りよ!
3握り!!
ファミリーパックなのに。
ぇえーこれどういうことだろ、普通もうちょっと残しておくよね?あれかな「きっとこの子は3つで満腹になるはず」とか思ってるのかな?えーまさか~(笑)なるはずないじゃ~ん(笑)こっちは年末年始、4連勤の勤労少女ですよ?あなた達の倍食べないと、死んじゃうかもしれませんよ?
そう思いながらも寿司については触れられず(小心者)
「そ、蕎麦たた食べた?」
とギクシャク気味に母に訪ねると「んー、まだ」と寿司には一切かすりもせず、しかもテレビを観たまま返されたので
「体冷えきってて?温かいご飯、食べたいから?ちょっとチンしてくる」と何故かカッコつけた感じで言って、台所に行くと「家出してやる!!」とか思いながら冷蔵ご飯をチンし始めた。
寿司3つだけとか…どんな顔して食えばいいんだよ!と思いながら、悔しさで今にも泣き出しそうなのをグッと堪えた。
すると茶の間から母が
「ちょっと何してんの!こっちに寿司がもう1パックあんだから、寿司食べなさいよ!」
えっ?
えっつ?
あんのかいあったんかいだったら早く言えや!!
引き返せないじゃん。「温かいご飯が食べたい」なんてカッコつけた手前「やっぱりお寿司が食べたい」なんて、言えないじゃん。
「温かいご飯が食べたい」なんてただの強がりだったなんて知られたくないじゃん。恥ずかしいじゃん。プライドが許さないじゃん。