ひろちん。のエスキス

ひろちん。のエスキス

廣珍堂と同じひと

  先週 X(旧Twitter)で詠んだものです。一部推敲・詠み直ししています。

 1,  = 蛸(たこ) =

 行き先に蛸島という幕を出しディーゼルカーはブルブル鳴りき 


 2, = 炎暑(えんしょ) =

 禅寺で炎暑の庭を眺むれば網膜すべて砂の瞑想 


 3, = 海水浴(かいすいよく) =

 50年前のビキニの小ささは海水浴の潮風なりき 


 4, = 風死す(かぜしす) =

 物干しのシャツもパンツも風死する猛暑で乾き烈火の匂い 


 5, = あいの風(あいのかぜ) =

 まだ癒えぬ千枚田にもあいの風実りのしづく海より運ぶ 


 6, = 空蝉(うつせみ) =

 ベランダの空蝉そつと手にのせてエレベーターで地面へ送る 


 7, = 夏深し(なつふかし) =

 そうめんがまだまだ残り夏深しアレンジをする気力などなし 



・空蝉(うつせみ):晩夏の生類季語で「蝉の殻」などとも。地中で数年を経た蝉の幼虫が、地表に出て樹上などで脱皮をした後に残った抜け殻。

・あいの風(あいのかぜ):晩夏。四月から八月ごろ、日本海沿岸に吹く北または東からの風のこと。豊作、豊漁等「幸せを運ぶ風」として親しまれている。

・蛸島:能登半島の先端(珠洲)にあった国鉄時代の終着駅。