あれから何日経ったのでしょうか。
ヒゲの伸び具合からすると、5日でしょうか。
ひたすら水を届け、動かなくなった車に引導を渡す毎日。
飲み水が手に入らない地区があるのです。
寒い中何10分も並んでようやくわずかな水を手に入れる。
お年寄りには難しい仕事です。
私は復旧するまで水を届けます。
また、車は水没したら終わりなのです。
外見は良くても、エンジンが掛かっても、ダメなんです。
電気系統は水、特に海水を嫌います。
食塩水に浸した銅線に電気…配線はすぐにダメになってしまいます。
たった一度の水没で、今まで何度となく整備し、面倒を見てきた車に引導を渡さなければならない。
こんな辛いことはありません。
また買えばいいという人もいるでしょう。
しかし「お父さんの形見だから、最後まで乗ろうと思ってたんだ」という方もいらっしゃるのです。
幸い私は寝る場所も、飲み水もあります。発電機で電灯も灯せます。
私は恵まれています。だから他人に尽くすのです。