セールスマンの多くは車でやってくる。
お客さんや取引先は堂々と入ってくるが,
セールスマンはソロソロと遠慮がちに入ってくるのですぐ分かる。
あの時もそうだった。
ソロソロと入ってきた車。
しかしフロントブレーキから異音が。
ブレーキパッドの残量が不足してきた証拠である。
敷地に入ってきた瞬間からジッと見つめられるセールスマン。
別にセールスマンを見ている訳ではなく,車を見ているのだが,そんな事は遠目では分からない。
セールスマンも落ち着かないだろう。
「ちょっとブレーキから変な音がしてますね。ゆっくり前後に動かして下さい。」
言われるがままに車を前後に動かすセールスマン。
「あーこれはディスクパッドが減ってますね。
このままだとあっと言う間にブレーキが効かなくなりますので,
早めに交換した方がいいですね。」
あ,そうですか,はい,と応えるセールスマン。
「で,何の用でしたっけ?」
この一言で,パンフを置いてそそくさと帰られた。
こんな断り方も,整 備工場としてはアリかと。