今回はベームが指揮したブルックナーの交響曲について少し書いてみます。
ベームのブルックナーについては以前、このブログで紹介していますので、今回はその時の記事を修正、加筆するかたちで投稿します。
カール・ベームのブルックナーというと、残された音源は多くはありません。HIROちゃんの知る限りでは「第3番」「第4番・ロマンティック」「第5番」「第7番」「第8番」の録音があります。しかし、1936年、ザクセン(ドレスデン)国立歌劇場管弦楽団と録音した第4番「ロマンティック」と第5番は、モノラル録音で、ステレオで録音したのは1970年代に入ってからデッカにウィーン・フィルハーモニーと第3番と第4番「ロマンティック」をやっと録音しています。その後、1976年にDGに第7番と、第8番を録音しています。
第5番と、第9番のステレオ録音が無いのが非常に残念です。第9番にいたっては録音が無いと思うのですが・・・ベームの第9番の演奏記録はあるのでしょうか・・・?
現在、HIROちゃんの手許にあるベームのブルックナーのライブラリーは下記のとおりです。
こちらはLPレコードですが、第4番「ロマンティック」のLPは、第3番との2枚組セットとあわせ同じものが2枚あります。このLPは就職してから間もない時に購入したものですが、おなじ音源でもCDよりLPレコードの方が音に臨場感も感じられ、LPを聴くほうが多い音源です。
ドレスデン時代の2枚のモノラル録音の第4番「ロマンティック」と第5番は古いモノラル録音です。
CDです。まとめて写真を撮ったものです。
■交響曲第3番 ニ短調
①ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1970) DECCA
■交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」
②ザクセン(ドレスデン)国立歌劇場管弦楽団(1936) EMI
③ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1973) DECCA
■交響曲第5番 変ホ長調変ロ長調
①ザクセン国立(ドレスデン)国立歌劇場管弦楽団(1936) EMI
■交響曲第7番 ホ長調
①ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1943又は1948?)
ALLEGRO THE Great Conductors
②バイエルン放送交響楽団(ライヴ 録音年不明1977?) METEOR
③ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1953/03/07ライヴ)Altus
④ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1976) DG
⑤(追加)ザクセン国立(ドレスデン)国立歌劇場管弦楽団
(1944)DOCUMENTS
■交響曲第8番 ハ短調
①ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1969 ライヴ)
TESTAMENT
②バイエルン放送交響楽団(1971 ライヴ) ORIGINALS
③ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (1976) DG
④チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(1978 ライヴ)PALEXA
これらの中で印象にのこる演奏についていくつか書いてみましょう。
まずはベーム最円熟期にDECCAに録音した「第3番」と、「第4番・ロマンティック」が素晴らしい。2曲ともウィーン・フィルの見事な音色と白熱的な迫力が見られます。なかでも「第4番・ロマンティック」は、曲の冒頭から引き込まれていく感じでスケールが大きく、弦楽器の音色も管楽器の音色も魅力的です。全体的に引き締まったテンポの設定で、表現にしなやかさや、ゆとりも感じられます。数多いブルックナーの「第4番・ロマンティック」のなかでもHIROちゃんとしてはベスト1の名盤・名演奏です。
「第7番」ですが、④の晩年のウィーン・フィルとの演奏ですが、正統的な演奏でウィーン・フィルの美しい音が魅力ですが、若干おとなしい演奏だろうか・・
③のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とのライヴですが、④の70年代の演奏と比較するとテンポが少し早く、緊張感も見られ興味を引く演奏です。音も当時のライヴとしてはまずまずで聴きやすい。
「第8番」ですが、海賊盤的なものも含め4種類が手許にあります。ライヴ録音も含め全てステレオ録音というのが嬉しい。
これら3種類のライヴ録音を聴いてみると、いずれもスタジオ録音では聴くことが出来ない、ベームの熱い説得力と迫力のある演奏を聴くことが出来ます。①の1969年のベルリン・フィルとのライヴですが、ブルックナーを熟知したBPOとの演奏は、やはり聴きごたえがあります。特に第4楽章が凄い。
しかし、個人的な感想としては②の1971年ライヴのバイエルン放送交響楽団の演奏が素晴らしい。会場はどこか全くわかりませんが、かなり残響の長い会場です。しかし録音状態は悪くありません。この演奏では、第2楽章や、第4楽章での炸裂した金管楽器や、ティンパニーの強打など、ライヴならではのベームの迫力と、堅実な演奏を聴くことが出来ます。④の1978年のチューリッヒ・トーンハレOとの演奏もライヴ感のある演奏ですが、前記のバイエルン放送SOとの演奏ほどの熱いベームではありません。
これら上記の3種類のライヴ録音に比べ、③のDGに残した1976年のスタジオ録音ですが、かなりスローテンポの演奏で、ちょっと聴くとおとなしい演奏ですが、ウィーン・フィルの美しい音を聴かせてくれます。ただし、正直、少し疲れます。この録音では第3楽章のアダージョが絶品で美しい演奏です。
しかし、この第3楽章だけを聴くなら、アンチ・カラヤンですが・・カラヤンの録音したベルリン・フィルや、晩年のウィーン・フィルの演奏の方が天国的な美しさを感じます。
なお、1936年録音のザクセン国立歌劇場管弦楽団との若きベームの「第4番・ロマンティック」と、「第5番」の演奏ですが、なかなか聴きごたえがあり、ステレオ録音ではないのが何とも残念です。しかし、古いモノラル録音ですが「第5番」については、この録音しかないのでベームの大変貴重な音源のひとつと言えるでしょう。
では、今日は、このへんで・・HIROちゃんでした。