「カール・ベームの名盤・名演奏」ですが、今回で22回目、まだワーグナーや、R・シュトラウスの作品紹介などもあり、終わりそうにありません。今回は、ブラームスの作品です。・・・ベームが指揮したピアノ協奏曲などもありますが、今回は交響曲について簡単に紹介します。
ベームはブラームスの交響曲を多く残しています。ライヴ録音を中心とした海賊盤的なマイナー・レーベルの音源も多く見られますが、HIROちゃんの手許にあるライブラリーは、下記のとおりです。
こちらはLPレコード、各曲1枚づつで「交響曲全集」とはなっていますが、2番と3番はモノラル録音です。しかし、スタジオ録音のためかモノラルでも音は聞きやすい音質となっています。
こちらは1975年のウィーン・フィル来日演奏会でのNHK録音によるライヴ録音の中からの1枚が「交響曲第1番」 この4枚組のLPレコードのセット(92MG 0650/3)は、なんと価格は9,200円! 慢性の金欠病で、1,000円盤などの廉価盤ばかり購入していた当時としては、驚くほど高価なセットでした。
こちらはCDです。
何枚か組のBOXも含め、まとめて写真を撮りました。
■交響曲第1番ハ短調Op.68
②シュトゥットガルト放送管弦楽団 録音:1951/04/15ライヴ
③ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1959/10
④ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1975/03/17 NHKホール・ライヴ
⑤ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1975/03/22 NHKホール・ライヴ
⑥ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1975/05
⑦ケルン放送響強楽団 録音年不詳(1976/09/21?)
■交響曲第2番ニ長調Op.73
①ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1942/09
②ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1956/12
③ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1975/05
④ロンドン交響楽団 録音年不詳
■交響曲第3番ヘ長調Op.90
②フランクフルト放送交響楽団 録音:1954/11 ライヴ
③ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1963/08/21 ライヴ
④ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1975/05
■交響曲第4番ホ短調Op.98
①RIAS-交響楽団 録音:1962/10 ライヴ
②ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1975/05
これらのLPとCDの音源から、特に印象に残る何曲かを紹介しましょう。
「第1番ハ短調」ですが、多くの録音があるのですが、特にこの中では③のステレオ初期のベルリン・フィルハーモニーとの1959年スタジオ録音盤と、④の1975年の来日公演の中から3月17日の「第1番」が素晴らしい。③のベルリン・フィル盤ですが重厚で力強く、迫力のある演奏、スタジオ録音でありながら燃焼度は数あるベームの録音の中でも上位で、「名盤」のひとつでしょう。
④の1975年の来日公演から3月17日の演奏ですが、この演奏は当時、NHKのテレビの音声からエアチェックしたモノラルのカセットテープで何度も聴いて感動した演奏です。当時、「ベーム/ウィーン・フィル、NHKライヴ ‘75」として4枚組LPレコードのセットが9,200円で発売され、財布をたたいて購入したのですが、このセットに収められた「第1番」は3月22日の録音盤、勿論この日の演奏も素晴らしいのですが、3月17日のものではなかったので当時、がっかりしたことを覚えています。その後、3月17日盤もLPで発売されたようですが、気が付かず3月17日録音盤を購入したのはCDで発売されてからです。
この3月17日と22日の演奏については、以前に投稿していますが、今でも印象は同じです。聴く人によって評価や好みは異なると思いますが、3月17日の演奏では第1楽章の冒頭から緊張感と気迫が凄い。第2楽章は実に美しく特にヴァイオリン・ソロ部分がなんとも言えません。この17日の演奏の圧巻は第4楽章で、正に圧倒的・・緊張感のある迫力と高揚感!木管とホルンの音も素晴らしい。曲の最後では圧倒され、演奏終了時にはオケの音が完全に鳴りやむか鳴りやまないかのうちに、少しフライング的な割れるような大拍手と聴衆の歓喜の声まで収録されています。実に感動的です。
また、22日の演奏も17日同様、素晴らしい。この日の演奏でも特に第1楽章、第4楽章の緊張感のある迫力と高揚感・・・ティンパニーの強打も相まって熱さがみなぎっています。そして美しい第2楽章・・・どちらの演奏が好きかと問われれば・・・やはり最初の感動が残っているためでしょうか、個人的には3月17日の演奏に軍配を上げたい。
「第2番ニ長調」ですが、1975年録音の③ウィーン・フィル盤も実に素晴らしい演奏ですが、HIROちゃんにとっては、②のLPレコードがなつかしい。
②の1956年録音のモノラル録音盤ですが、鑑賞には十分な音質だと思います。やや遅いテンポの印象ですが、ベルリン・フィルハーモニーの重厚な響きの中にもバランスのとれた美しい音色が特徴の名盤です。
1975年録音のウィーン・フィルハーモニーとの交響曲全集は、1976年のレコード・アカデミー賞を受賞した録音ですが、「第3番ヘ長調」「第4番ホ短調」もウィーン・フィルの伝統的な響きを伝える名演奏です。「第3番」の②③のライヴ録音、「第4番」の①のライヴ録音は、印象としてはそれほどの強烈さは感じられないものの、スタジオ録音とはまったく違ったベーム全盛期の実演の魅力を聞くことができます。なお、1953年DECCAに録音した「第3番」も捨てがたい名盤のひとつだと思います。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。